YAIBA:新作テレビアニメ第6話 異例の“一人原画”の裏側 メインアニメーター前並武志インタビュー

配信日:2025/05/17 7:31

「真・侍伝 YAIBA」の第6話「いきなりバットガイ」の一場面(C)青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
「真・侍伝 YAIBA」の第6話「いきなりバットガイ」の一場面(C)青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会

 「名探偵コナン」などで知られる青山剛昌さんの剣劇アクションマンガ「YAIBA」の新作テレビアニメ「真・侍伝 YAIBA」(読売テレビ・日本テレビ系、土曜午後5時半)。原作者の青山さんがシナリオを完全監修し、完結から約30年の時を経て名作が令和によみがえった。「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」などで知られるWIT STUDIOがアニメを制作し、迫力あるアクションシーンが話題になっている。5月10日に放送された第6話「いきなりバットガイ」では、メインアニメーターの前並武志さんが一人で原画を手がけ、作画監督、バットガイのキャラクター設定を担当したことも話題になっている。異例とも言える“一人原画”の裏側、制作のこだわりを聞いた。

 ◇少年マンガ要素満載の「YAIBA」 子供たちにワクワクしてもらえるように

 --「YAIBA」の原作の印象は? どんなところに魅力を感じますか。

 ストレートな王道マンガだと思いました。伝説の剣と出会い、八鬼と戦い、パワーアップの玉を探して旅をする。ライバルとも共闘して未知の敵と戦って、どんどん本編は盛り上がっていく。恋愛要素、魅力的なデザインのキャラたち、剣のギミック、技など、ワクワクする少年マンガ要素が全て詰まってるすごい作品だと思いました。

 --「YAIBA」のテレビアニメが制作されることを知った時の率直な感想は?

 小さい頃、アニメ「剣勇伝説YAIBA」を楽しんで見ていて、「YAIBA」は知っていたので自分がその一スタッフとして参加できることにワクワクしていました。

 --「真・侍伝 YAIBA」にメインアニメーターとして参加されることになった経緯は?

 キャラクターデザイン/総作画監督の亀田(祥倫)さんから「一緒、YAIBAどう?」という感じでLINEをいただきました。すごくうれしかったです。前に席を置いていたサイゲームスピクチャーズで小躍りしてました。

 --「真・侍伝 YAIBA」の制作の上で軸としていること、大切にしていることは?

 あくまで自分の考えですが、見てくれる方、特に子供たちに、柔らかく、楽しげな感じ、ヤイバのかっこいい感じが伝わってワクワクしてもらえるように気をつけてます。

 --第1~5話のご自身が手がけたシーンの中で印象に残っているのは?

 第1話のジャングルの主のゴリラ、第2話の鬼丸との街中での大立ち回り、オープニングの自分のカットなどの長尺バトルカットです。コンテだと1、2コマで終わっていて、大体が作画マンに任されるのですが、それを10秒以上の尺に盛るのが大変でした。そういうのが連続で自分に振られたので、内容がかぶらないように構成するのをどうしようかすごく悩みました。あとは、青山先生の描くキャラの顔が独特なので、描き慣れるまで時間がかかりました。メインキャラの多さ、動物キャラ、身長差によるカメラの収め方などもいろいろ苦労しました。

 ◇ずっと憧れだった“一人原画” 質と量を両立させるために

 --第6話は、これまでのエピソードと違い、一人で原画を担当されました。“一人原画”の経緯は?

 元々、アニメーターになろうと思った時からアニメ「ハチミツとクローバー」の竹内哲也さんの一人原画回が好きで、そこへの憧れがあったので、自分も一人原画をやってみたいと思ってました。そこに「YAIBA」の話がきたので、取れる時間、作品の雰囲気、自分のポジションなどいろいろ含めて、自分に合っている、ここしかチャンスが無いなと思ったので踏み切りました。

 --第6話は、名古屋を舞台としたバットガイとのバトルが描かれ、迫力ある空中戦も印象的でした。原画を手掛ける上でこだわったところは?

 これもあくまで自分の考えなのですが、一人原画は特別なものだと思っているので、ただ多くの原画をこなすだけにはしたくないというのは始める前から自分の課題としていました。自分なりに質と量を両立したかったです。あと、原画までやりきりたかったので、途中で引き上げられないようにスピードにも気を使っていました。レイアウトは頭から順々にこなしつつ、カットごとのカロリーを計算しつつ、重いカットはラフで動きを先につくっておいてイメージを熟成させつつ、軽いカットをこなしていってまた重いカットに戻って完成させていく、というサイクルを維持してやっていました。原画作業時には、制作の高橋(沙希)さんがそういうのにも気を使ってくれたので作業しやすかったです。あと演出的なことにも興味があったので、一緒に作業してくれた絵コンテ/演出の徳野雄士さんに丸投げはせず、自分なりにセリフなどの組み立ても考えました。

 --苦労したところ、大変だったところは?

 苦労した点は、やっぱりいろいろなポジションの人とのやり取りがすごく大変だと感じました。徳野さんに付いていろいろな打ち合わせ現場に出させてもらったのですが、それぞれの役職の方にいろいろな考えがあるので、それを受け取るのが大変でしたね。

 --第6話放送後の今だから言える裏話はありますか?

 裏話というと、第6話を進める上でのモチベーションは割とネガティブなものでした。自分は悲観的な部分が強い人間なので、なんなら作業中にぶっ倒れて人生の嫌なところを全部忘れられたらなー、と思いながら作業していました(笑)。

 --前並さんがアニメーターとして大切にされていることを教えてください。

 インプットとアウトプットのバランスをちゃんと取ることだと思います。片方だけ、特にアウトプットに寄り過ぎると、心のバランスを崩してしまって仕事自体がままならなくなると思います。自分は30歳を過ぎてアニメーターを始めて、焦って突っ走ってきたので、特にそう感じました。あと最近強く思っているのは、アニメだけでなく、ちゃんと自分の人生を大切にすることも重要だったなと思いました。高く積み上げていくには土台の安定性が大切だと思うので。頑張って自分の価値を高めることは大切ですが、一人で無理せず周りに頼りつつ努力を続けていけたらと思います。ヤイバもそうやって成長していっているので。

 ◇亀田祥倫のキャラデザ 全てのスタッフの“プレー”に注目

 --「真・侍伝 YAIBA」ならではの魅力を教えてください。

 何においても亀田さんのキャラクターデザインを楽しめることだと思います。その人が居る、居ないで作品が大きく変わってしまうレベルの方の仕事を画面で見るのは、スポーツでスーパープレーヤーのプレーを間近で見ることと同じだと思います。もう一つは、そのプレーに魅入られて集まってくる腕に覚えありの方々のプレーも見どころです。アニメーターももちろんですが、色彩、美術、撮影の方々のお仕事も素晴らしいので、そういう部分にも注目してみてください。あとは、ギュッと凝縮されたテンポの良さも見どころだと思います。原作完結から30年の時を経て、舞台も現代に合わせていますので、どう変わっているのか原作と見比べてご覧ください。

 --今後の見どころは?

 これからの話の盛り上がりに合わせて、どんどんいろいろなアニメーターが参加していくので、その方々のド派手なプレーを楽しみにしてください。

提供元:MANTANWEB

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