TBS:ショートアニメを展開する狙い 「ンめねこ」の挑戦
配信日:2025/04/19 7:01

クリエーターのしりもとさんのマンガ「ンめねこ」がテレビアニメ化され、TBSで4月3日から毎週木曜深夜1時58分に放送されている。約1分半のショートアニメで、TBSは、同作を皮切りにショートアニメに力を入れていくという。民放各局がアニメ枠を新設するなどアニメに注力する中、TBSがショートアニメを展開する狙いとは? 「ンめねこ」を手掛けるTBSの片山悠樹プロデューサーに聞いた。
◇より幅広い層に向けたアニメにチャレンジ
TBSは2023年10月に毎週日曜午後4時半、2024年1月に毎週木曜午後11時56分に全国放送のアニメ枠を新設。「勇気爆発バーンブレイバーン」「アオのハコ」「地縛少年花子くん2」などの話題作を放送するなど近年、さらにアニメに注力している。片山プロデューサーは「推しが武道館いってくれたら死ぬ」「プラチナエンド」「地縛少年花子くん」「地縛少年花子くん2」「アンダーニンジャ」などを手掛けてきた。
「TBSのアニメの歴史は長いのですが、TBSがアニメに力を入れる中で、30分アニメ・劇場版アニメに加えて今回ショートアニメにも積極的に取り組もうとしていますショートアニメによって30分のアニメとはまた違うターゲットに向けて積極的にアピールしていこうとしています」
日本のアニメは国内だけでなく、グローバルで通用するコンテンツに成長した。アニメは子供やコアなファンだけに向けたものではなく、視聴者層が大きく広がっている。より広い層に向けたショートアニメを発信していこうとしている。
「TBSは、コアなものからライトなものまでジャンルにとらわれずアニメを手掛けてきました。そして今後さらにジャンル・世代など関係なくよりカジュアルに見ていただけるアニメも展開したいと考えておりました。近年、YouTubeだけで完結するようなコント風のショートアニメも増えていて、幅広い層の方がアニメをいろいろな形で楽しまれています。そういった環境も踏まえて、より広い層に向けたアニメにもチャレンジしようとしています」
4月から毎週木曜は、午後11時56分に「ロックは淑女の嗜みでして」、深夜0時26分にMBS製作の「WIND BREAKER Season 2」が放送されている。深夜1時28分に「地縛少年花子くん2」の再放送があり、深夜1時58分に「ンめねこ」が続く。木曜深夜に計4作品のアニメを放送している。「木曜深夜にアニメを見てくださっている方が、流れで楽しめる環境を作ろうと考えました」と、TBSの木曜深夜は“アニメアワー”であることを印象付けようとしている。
放送終了後、すぐにYouTubeやTVerでも配信するなど、視聴習慣が多様化した現代に合わせた施策も万全だ。商品化や海外展開にも力を入れる。
「グッズ、キャラクタービジネスが重要になってくる作品です。原作元様と一緒に国内外に展開していこうとしています。アニメを長く続けていく中で浸透していくと良いなと思っています。」
◇短尺コンテンツのトレンド
「ンめねこ」は、 明るい性格で食べることが大好きなンめねこ、頼りになるうすくろの面白おかしい日常を描いている。潘めぐみさんがンめねこ、下野紘さんがうすくろをそれぞれ演じる。
「原作は癒やしと笑いの要素が奇跡的なバランスで詰め込まれていると感じています。キャラクターの魅力が満載なのでさまざまな層に見ていただけるアニメにできればと思っています。20、30代の方々が癒やされてほしいと思いますし、ファミリーでも楽しんでほしいと思っています。原作では、ンめねこ、うすくろの関係性が詳しくは説明されていないので、見る人によって感じ方が変わってよいと思っていて、アニメを作る上でそこは意識して制作しています。」
ショートアニメは、10分のものもあれば、3~5分のものもある。「ンめねこ」は約1分半とショートアニメの中でも短い。時間に対する感覚がシビアになっている昨今、SNSの短尺コンテンツに慣れた視聴者も多い。TikTokやInstagramのリール、YouTube Shortsの拡大が、視聴習慣を短尺にシフトさせているとも言われている。
「実写のショートドラマは、最初の数秒で何かが起きる作品が多く、視聴者の心をつかんでいます。アニメもシーンによってはそういうチャレンジが必要になっていると感じています。ショートアニメは10分のものもありますが、最近はどんどん短くなっていますし、1分半くらいの尺がトレンドになりつつあります。1分半だと、簡単に見えるかもしれませんが、短い尺の中で要素をバランスよく埋め込むのは簡単ではありません。カジュアルに楽しめるけど、熱を持って見ていただけるようにと思っています」
アニメを取り巻く状況やトレンドの変化に合わせ、TBSはショートアニメに力を入れているようだ。片山プロデューサーは「今後もショートアニメに積極的に挑戦していきたい」と話しており、さらなる展開も注目される。
提供元:MANTANWEB