木野日菜:「薬屋のひとりごと」インタビュー 里樹妃はただの“不遇キャラ”じゃない 芯の強さを全力で表現
配信日:2025/04/11 7:01

小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた日向夏さんのライトノベルが原作のテレビアニメ「薬屋のひとりごと」。第38話「踊る幽霊」では、猫猫が、現帝の妃で上級妃・四夫人の一人の里樹妃(リーシュヒ)の部屋に出るという幽霊の謎を解く。侍女たちにいじめられ、“不遇キャラ”とも呼ばれる里樹妃だが、第38話では新たな一面を見せるという。里樹妃役の木野日菜さんに、収録の裏側を聞いた。
◇悠木碧の演技に衝撃
「薬屋のひとりごと」は、ライトノベルがヒーロー文庫(イマジカインフォス)から刊行されており、コミカライズも人気を集めている。原作のシリーズ累計発行部数は4000万部以上。舞台は、とある大陸の華やかな後宮で、毒見役の少女・猫猫が、美形の宦官・壬氏と共に陰謀やウワサのひしめく後宮で起きる事件に巻き込まれていくことになる。テレビアニメ第1期が、2023年10月~2024年3月に放送され、第2期が、日本テレビのアニメ枠「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」で毎週金曜午後11時に放送中。
「薬屋のひとりごと」は老若男女に愛されている作品だ。
「原作を好きな友人がいて、アニメ化されることを楽しみにしていたのですが、出演が発表される前は『出ている』とは言えないですからね。発表されて『出ている!』と連絡をくれ、すごく喜んでもらえました。両親にも伝えていなかったのですが、見てくれていたようで『日菜が出ている! 面白いね』と言ってもらえたりしました。後宮という世界観が独特ですが、人間ドラマの深さもあります。現代の私たちが共感できるところがあって、難しい用語も自然に入ってくるんです。見ているうちに自然に頭の中にインプットされてしまうのが不思議です。最初、香盤表を見た時、読み方が分からないキャラクターも多かったのですが、自然に覚えていました。不思議ですね」
木野さんも「薬屋のひとりごと」の世界に魅了された。
「第1期の第3話で、芙蓉妃が踊るシーンに感動しました。世界や境遇は現代の私たちとは違うけど、気持ちは同じなんですね。馬車に入るまではキリッとしていたけど、入った瞬間に抱き合って泣くシーンに鳥肌が立ちました。これはすごい!と一気にのめり込みました。第11話の阿多妃と里樹妃のエピソードも印象的です。それまで里樹妃はわがままな女の子に見えていたと思うのですが、その印象が変わりますよね。『薬屋のひとりごと』のキャラクターは、物語が進むと、キャラクターの印象が変わるところも魅力です」
木野さんが気になるキャラクターは壬氏だという。立場や出生には謎が多いが、第2期で少しずつ謎が明かされつつある。
「格好いい! 可愛いところが見えたりする時もあって、ズルいですよね。大塚さん(壬氏役の大塚剛央さん)がやっぱりすごいです! 初めて声を聞いた時、『薬屋のひとりごと』の世界の人だ!と衝撃が走りました。高貴でしっとりしていて、優しさもあるお声で、いろいろな顔を見せてくれるんです。第2期の途中から『薬屋』ではなく『猫猫』と呼ぶようになって、呼んじゃうの!?となったり(笑)。二人の関係性も最高ですね。この後の展開が楽しみです」
猫猫役の悠木碧さんの演技も大きな魅力になっている。木野さんは、悠木さんと共演する中で衝撃を受けているという。
「悠木さんは、私が新人時代にご一緒させていただいたことがあって、その時にマイクの前に立つ悠木さんの後ろ姿からオーラが出ているのが見えるほど、芝居がすごすぎて、衝撃を受けた先輩だったんです。またご一緒できたことがうれしかったです。猫猫の長ゼリフを読む姿を見て、すごい!とまた衝撃を受けました。この現場はすごい方々ばかりなので、収録に行くたびに勉強になっています」
◇強く激しい里樹妃が!
木野さんが演じる里樹妃は、元は先帝の妃であったが、先帝が亡くなったことで未亡人となり尼寺に出家。その後、現帝の妃として再び入内する。幼い故に後宮の風習やしきたりの知識が浅く、感情がすぐに顔に出てしまい、振る舞いも幼いため、自身の侍女たちから軽んじられている。第1期では侍女たちからいじめられるシーンが話題になり、“不遇キャラ”とも呼ばれるようになった。
「四夫人の中でもひときわ若く、軽んじられて、自分の侍女たちにも意地悪をされています。過去の経緯も複雑です。収録では『ただの可愛い女の子ではなく、頑張って自分の立場を見せようとしているから気を張っている』『ふと驚いたり、怖がったりした時は等身大の女の子に戻る』というディレクションがあり、年齢感、バランスの見せ方が難しく、何度も調整しながら演じました」
可愛いけど高貴であり、普通の女の子であるところも垣間見える。木野さんが演じる里樹妃は、そのバランスが素晴らしい。
「里樹妃も上級妃たちの中で緊張しっぱなし、冷や汗タラリみたいになっていて、堂々としなきゃ!と思っているので、私も演じていると肩がバキバキになります(笑)。私自身、高貴な人を演じたこともなかったですし、日常生活にはないことなので、その不慣れなところが里樹妃とリンクしたような気がします。用語も難しいんです。この読み方で合っているかな?と現場で分かることもありますし、難しいのですが、完成した映像を見たら自然に頭の中に入ってくるのがすごいですね。第1期の時は分散収録でしたが、第2期はみんなで収録できていて、大人の色っぽい女性キャラクターがたくさん出てくるので、ドキドキしています。金剛宮のキャストの方とも一緒に収録できていて、いじめられるシーンも刺激を受けながら演じています」
不遇な里樹妃ではあるが、第2期では変化も見えてくる。
「第2期では、もともと毒見役だった侍女の河南が味方になってくれて、猫猫も助けてくれるようになり、周りの空気が変わっていき、里樹妃も安心した顔をたくさん見せてくれるようになります。よかった! 里樹妃は不遇だけど、侍女からいじめられているという認識はないんですよね。『あんまりよく思われてないかもしれない』という言い方もしていますし。すごいことを言われているんですけどね。狭い世界しか知らずに育ってきたから、分からないことも多いし、幼いながらの純粋さを感じるところがあります」
第38話「踊る幽霊」では、里樹妃の生い立ちが深掘りされる。
「これまではおびえる姿を見ることが多かったですが、ガラッと変わって芯の強い部分も見えてきます。どれくらい芯の強さを出していいのだろう?と悩みました。これまではおびえてばかりだったので、テストでは抑えめにやったのですが、『リミッターが外れたように』『もっと強く激しく』というディレクションもあったので、本番では精いっぱい演じました。こんなに強い子だったんだ!と感じていただけるとうれしいです」
木野さんは、里樹妃の芯の強さを全力で表現した。なぜ、里樹妃は強く激しい感情をあらわにしたのか? ぜひ注目してほしい。
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