梅田修一朗×長谷川育美×間宮康弘:“ヒロアカ”スピンオフ「ヴィジランテ」インタビュー 戦い、挑み、学ぶ収録 苦しんだからこそ“伝わる”ものに

配信日:2025/04/06 19:01

「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」に出演する(左から)長谷川育美さん、梅田修一朗さん、間宮康弘さん
「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」に出演する(左から)長谷川育美さん、梅田修一朗さん、間宮康弘さん

 堀越耕平さんの人気マンガ「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」の公式スピンオフが原作のテレビアニメ「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」が、4月7日からTOKYO MX、読売テレビほかで順次放送される。“ヒロアカ”本編の数年前の日本を舞台に、人々に認められ活躍するヒーローの裏側で、誰にも認められずとも誰かを救わずにはいられない非合法(イリーガル)ヒーロー・ヴィジランテたちのドラマが描かれる。ヴィジランテである主人公の灰廻航一(コーイチ)役の梅田修一朗さん、ポップ☆ステップ役の長谷川育美さん、ナックルダスター役の間宮康弘さんに収録の裏側、今作での挑戦について聞いた。

 ◇「ヴィジランテ」ならではの主人公・コーイチ 今後に「ワクワク」

 ――「ヴィジランテ」は「オールマイトと出会わなかったデクの物語」とも言われています。“ヒロアカ”のデク(緑谷出久)とは異なる主人公像を持つ平凡な大学生・コーイチの印象は?

 梅田さん 「僕のヒーローアカデミア」は、僕が声優を志す前から好きな作品だったので、そのスピンオフの「ヴィジランテ」でコーイチ役を任せてもらえたことがうれしかったです。コーイチは、一度大人になった後というか、「これからヒーローになるんだ!」というのが一回落ち着いちゃった後で、“ヒロアカ”作品の主人公としては意外なキャラクターだと感じました。自分たちに近い、一般人っぽい印象が最初はあって、彼がどんなふうに活躍していくんだろう?と思ってしまうような普通さが際立つ印象がありました。

 ――コーイチは、「滑走」という“個性”を持っていますが、ママチャリくらいのスピードしか出ないという。

 梅田さん それもコーイチらしい演出だなと思います。

 長谷川さん “ヒロアカ”のデクも秀でた才能はなかったけど、気持ちの部分は「ヒーローになり得るんじゃないか」と最初から思えるようなタイプの主人公だと思うのですが、コーイチはいわゆる普通というか。ヒーローに憧れの気持ちを持ちつつも、身の程を知っている。自分のできる範囲内でやりたいことやるというのが、意外な主人公だなと私も思いました。この子がどういう人と出会って、どんな事件に巻き込まれて、どう変わっていくんだろうと、すごくワクワクした気持ちになりました。

 間宮さん 普通の大学生だし、バイトもしているし、我々普通の一般人に近い目線で物事を見ている。そこからどうドラマティックに彼が進んでいくのかは、本当に見応えがある部分だと思うんですよね。それが最終的にどうなっていくのか、自分が思っているオールマイトのような素晴らしいヒーローになっていくのか。それをこれから長いこと、楽しんでいただけたらいいな思っています。

 ――自称フリーアイドルのポップ☆ステップの印象は?

 長谷川さん ポップは、この作品でちょっと特殊な立ち位置で、目的がないといえばないというか。この3人での活動に対して「自分はこうしたい」を持っているわけじゃないというのが面白いなと思っていて。ヒーローを題材にした作品で、ポップは“個性”も持っているけど、本人としては“ヒーロー”に重きを置いていない。人に対する好意が原動力になって彼女は動いているので、演じる上でも、「どうしてここで怒るのか?」「なんで事件が起こっている場所にわざわざ行って、声を張り上げて、人々を先導しているのか?」という「なんで?」の部分を大事に演じなきゃなと思いました。目的を見失っちゃうとポップじゃなくなっちゃうなというのは意識しながら演じさせていただいています。

 ――“ヒロアカ”にはいなさそうなキャラクターですね。

 長谷川さん そうですね。“ヒロアカ”の1年A組はみんなヒーローになりたいけど、ポップは別にヒーローになりたい子じゃない。

 梅田さん 「ヴィジランテ」っぽいキャラクターですよね。あの世界の生活に根ざした女の子の一人でもあるなと。ヒーローを目指す人もいれば、アイドルを目指す人もいて当然ですし。

 間宮さん “個性”の使い方のバリエーションですよね。

 ――敵(ヴィラン)の“掃除人”ナックルダスターは、どんなキャラクターと捉えていますか。

 間宮さん ナックルは、ネタバレも含むのであまり詳しくは言えないのですが、コーイチやポップと違って大人の立場で、かつ、ずっと悪と向かい合ってきた立場から彼らと接していくわけです。ずっと悪と戦い続けてきた歴史があって、コーイチとは違って、憎しみとか怒りとか負の心情を元々多く持っているキャラクターではあるので、それをせりふの端々に込めて演じることをすごく大事にしています。彼の本質的な部分は、どちらかというと、ヒーローより敵(ヴィラン)に近いような印象がある。コーイチやポップと接する時は表の顔を見せているけど、敵(ヴィラン)に相対している時は、殺しはしないけれども、それに近いくらいの感情で芝居を作っているので、その辺りが伝わったらうれしいですね。

 ――原作者の方々もオールマイトがスーパーマンだったら、ナックルダスターはバットマンのようとも表現されています。

 間宮さん そうですね、ダークヒーロー感が強いですよね。

 ◇キャラクターの解像度を上げていく 緊張感、集中力の高い現場

 ――お話しされている3人からは仲の良さが伝わってきますが、アフレコの休憩中も3人でワイワイ話されている?

 長谷川さん それが……(苦笑)。最初に音響監督の三間(雅文)さんが、役柄の関係性をすごく大事に考えられている方で「あんまり仲良くならないでね」と言われていました。

 梅田さん 特に、僕は間宮さんと話すなと言われていて。

 間宮さん スタジオで座る席も離れされていて。オレは、梅田さんと長谷川さんが話しているのを遠くから見ていて、「オレもしゃべりたいな……」と(笑)。

 梅田さん だから、今日の取材のようにアフレコ現場以外で会った時に「お疲れ様です!」みたいに話せるんです。

 長谷川さん やっと近寄れる(笑)。アフレコでそういうことを言われるのは、他の現場だとなかなかないので、そういうところから作品のためになるように意識をされていて面白いなと思いました。

 間宮さん (デク役の)山下大輝くんが“ヒロアカ”の現場もそうだったと言っていて。デクにとってオールマイトは憧れの存在だから、オールマイト役の三宅健太さんにはあまり近づくなと言われていたと。

 ――緊張感のある現場なのですね。今作ならではの挑戦となっていることは?

 梅田さん 三間さんにも言われていることなのですが、できないことをできるように、本当にギリギリで頑張る。毎回「挑む」ということを頑張っています。挑んで、挑んで、できないことを毎回1ミリでもできるようになるというイメージです。できるかできないかじゃなくて「やるぞ!」と。そういうふうにがむしゃらにやっているのがコーイチだと思うので。

 ――アフレコも戦いのような。

 一同 戦いですね。

 梅田さん 収録では、自分の中の基準ではなくて、「コーイチがどういうふうに見えるか」というところをしっかりとディレクションしていただいて。例えば、僕の中ではポップのことを思って、コーイチとしてせりふを話していても、三間さんには「全然感じないぞ」と言われてしまう。見ている人にも、コーイチの人柄や気持ち、意図が伝わるように、本当に厳しく一緒に作らせていただいています。

 ――コーイチが「普通」ゆえに難しいところもある?

 梅田さん そうなんですよね。結果として普通に見えているんですけど、コーイチも“個性”を持っているし、性格的な個性もある。こだわりもあれば、人との関わり方も、物腰もコーイチならではのものがあるので、「コーイチは普通の子だから、こういう感じだよね」と演じるのではなくて、全部の“元”になる部分に対して解像度を上げに上げて演じる。プロの現場でありながら、毎回教わっているところもありますね。

 ――長谷川さんは、挑戦になっていることは?

 長谷川さん 私も最初の頃は、三間さんから「なんで今こういう言い方したの?」と言われることが多かったんです。例えば、コーイチを心配して焦っているというシーンで、そのシーンの中だけの感情になっちゃう時が結構あって、「じゃあ、なんでその焦りにつながるの?」と。「コーイチをヒーローにしたい」「コーイチを支えたい」という気持ちがあるからこそ、この感情だよね、というご指摘をいただいて、「そのシーンに合わせた感情じゃダメだ」と改めて痛感したというか。バタバタとアクションをしているシーンだと思わず勢いでやりそうになっちゃうんですけど、「この子の原点って何だろう」という大事な部分をなくしたらダメなんだなと思いながらやっていますね。

 ――長谷川さんは公式インタビューで、オーディションでも多く指摘を受けたことを語られていました。

 長谷川さん あの時も、ポップのキャラの捉え方が間違っていたというわけではなく、お芝居のアプローチの仕方でいろいろ教えていただいたんです。「これをここで言われてるようじゃダメだろうな」と思いながら帰りました。

 間宮さん オーディションでダメ出しって、なかなかないよね。

 長谷川さん そうなんです。しかも、私一人だけすごい言われてしまったので(苦笑)。でも、そこで言われたことは、めちゃくちゃ自分の中で残っていて、実際ポップ役に決まった時も、それを心に留めながら演じました。それで本番ではできたんですけど、30分間のアニメーションの中で、まだまだ自分の足りてない部分はすごく感じていたので、今回の作品作りの中ではこれがすごく大事ということを、1話1話どんどん学んでいっている感じです。それが別の作品で生きることもめちゃくちゃあるし、台本の読み方が変わってくるところもあったので、すごく勉強になっています。

 間宮さん 「ヴィジランテ」は、お二人がメインで主役とヒロインだから、せりふ量も多いし、ダメ出しの数も必然的に一番多くなる。でも、それを見ている僕も、ほかの役者さんもみんな「あぁー……!!」と、我が事のように刺さるんですよ。せりふというのはキャッチボールだから、自分だけが出来上がったせりふを言うというよりは、絡む相手のせりふを引き出すため、やりやすいようなアプローチでせりふを言う。オレもそれを心がけてはいるんですけど、やっぱりすごく難しい。できない時は当然三間さんからもご指摘が入りますし。そうやってみんなが切磋琢磨(せっさたくま)して、一つの作品の完成度を上げるために頑張っているという。だから、すごく緊張感があります。いい意味で緊張感の高い、集中力の高い現場だと思いますね。

 梅田さん 僕、「ヴィジランテ」の現場で初めて感じたことがあって。作品によって現場の空気はがらっと変わるのですが、休み時間に爆笑が響く現場もあれば、それぞれがマイペースに過ごしている現場もある。「ヴィジランテ」の現場では、自分が苦しんで苦しんで出したものが結果、人に面白いと思ってもらえるものにもなるんだなと初めて感じて、そういう現場だなって。そういう作り方でしかできないことってあるんだなと思っています。

 梅田さん、長谷川さん、間宮さんら声優陣が戦いながら表現する非合法(イリーガル)ヒーロー・ヴィジランテ。“ヒロアカ”のヒーローとはまた違った魅力を感じられるはずだ。

提供元:MANTANWEB

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