氷川きよし×小室哲哉:「ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ」インタビュー(2) 音楽が持つ力 「生きる希望に」「不変で絶対に死なない」
配信日:2025/04/06 12:01

インタビュー(1)の続き。 故・水木しげるさんのマンガが原作のテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の第1~6期の中から鬼太郎ゆかりの著名人がセレクトしたエピソードを放送する「ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ」が、フジテレビほかで4月6日から毎週日曜午前9時に放送されている。同作のエンディング主題歌「Party of Monsters」は、小室哲哉さんが楽曲プロデュースし、氷川きよし(KIINA.)さんが歌うという豪華タッグを実現した。小室さんが憧れの存在だったという氷川さん、氷川さんに「可能性を感じていた」という小室さんに楽曲に懸ける思い、音楽が持つ力について聞いた。
◇小室サウンドが生きる希望に 「たかが音楽とは言えない」
――氷川さんは、小室さんが憧れの存在ということですが、どのように影響を受けられたのでしょうか。
氷川さん 一番衝撃を受けたのが、中学2年生の時に小室さんとYOSHIKIさんの「V2(ブイツー)」というユニットのCDを買った時です。当時、縦長のシングルCDで、なんて美しいメロディーとジャケットなんだろうと。中学2年生の14歳の心に憧れというか、「きれいな人になりたい」という希望ができたんです。衝撃を受けたのが「背徳の瞳」(「背徳の瞳~Eyes of Venus~」)という曲だったのですが、小室さんの歌声にもすごく癒やされて、多感な時期で悩みも多かったので、生きる力でしたね。そこから小室ファミリーが好きになって、アルバイト時代にCDを買いまくって生活に困ったという(笑)。流行というより小室さんの作品が好きで、その思いが好きでした。今もずっと変わらず、普遍的な小室サウンドの心地よさとかっこよさ、色っぽさが、自分の生きる希望です。
――小室さんは、氷川さんのお話を聞いていかがですか。
小室さん 当時は、今のようにSNSやデータから何もかも分かってやれる時代ではなかったので、売れているか売れていないか、好まれているか好まれていないか、指針となるのはオリコンのチャートくらいで。なので、「きっとこうなんじゃないか?」と拡大解釈してやっていたので、そこまで皆さんに寄り添うことができていなかったかもしれない。ただ、この10年くらいは、1年で1万人くらいの人に直接「どんなことを感じたのか」と、なるべく聞くようにしているんです。当たり前ですけど、10万人いたら10万種類の思いがあって、それぞれ違うんですよ。誰と一緒にいた時に聴いたのか、いつ聴いたのか、喜怒哀楽はどうだったのか、いろいろな設定があって。本当にたかが音楽とは言えないなと。良い職業を選べてよかったなと思っていますけど。
氷川さん その音楽がやっぱり生きる力になるので。中学の時から小室さんの存在が自分の生きる力でしたから。
小室さん いまだに新人が後を絶たないというか、「まだ音楽やりたい子がいるの?」と思うほど、毎日デビューしているじゃないですか。必ず新しい人が出てきて、人気を得ていく人たちが、決して途切れないですからね。本当にそれだけは不思議です。終わるエンタメ、消えていくエンタメもあると思うのですが、音楽は不変というか、絶対に死なないですね。
◇小室哲哉が語る音楽の力 「with t.komuro」のジンクス
――今回の「Party of Monsters」も何回も繰り返し聴きたくなる楽曲だと感じました。楽曲で伝えたい、届けたい思いは?
小室さん 今回はKIINA.という優れたパフォーマーがいるということもあって、今世の中に起きているあらゆるよくないこと、戦争だったり、地球の温暖化だったり、いろいろな困った問題を歌詞に列挙させているつもりです。でも、それをやっているのは全部「人」なので。そういうことをサラッと言えるのが音楽。これを政治家の方たちが言葉で言うと、角が立つこともあって大変だと思うんです。でも、音楽だと、楽しくそれを言えちゃうというか。下手したら踊りながら言えちゃう。そういう力はすごいなと思います。それでも届かないと意味がないので、KIINA.のような届ける人、メッセンジャーがそれを具現化して世の中に広げてくれればいいなと。そういう意味では、KIINA.は認知度も抜群だし、「どんな歌を歌っているの?」と興味を持ってくれる。それがまたいろいろなことにつながっていったら一番いいなと思います。
――今回は、アーティストの名義が「氷川きよし with t.komuro」となっていますが、そこにも思いが?
小室さん これまで「with t.komuro」と付けさせてもらっているのが、篠原涼子さんと浜田雅功さん、西川貴教さんの3人しかいないんです。そこにKIINA.が入って4人目。これまでみんな爆発的に売れていて、CDで言うと200万枚レベルなので、ぜひそうなってほしいという願いも込めて。あとは、スタッフへのプレッシャーですよね(笑)。
――氷川さんは、この楽曲で届けたいものは?
氷川さん やはり世の中は「人」で回っているし、一番怖いのも「人」なんだなとも思いますし、人の中にもいい心も悪い心もあるじゃないですか。やっぱりいい生き方をしていかないといけないなと思って、とにかく人に希望や生きる力を与えられるような歌い手になっていきたいなと思っています。2年間休んだので、これから先は休まずに、時間を無駄にしないようにとにかく歌い続けて、自分の人生を全うしたいなという決意でいます。ちょうど人生も半ばに来て、これから総仕上げという感じなので、そのスタートの「Party of Monsters」をアニソンファンの皆さんはもちろん、いろいろな方に届けられたらいいなと思います。
提供元:MANTANWEB