声優でアーティストの前田佳織里さんのサードEP「I’m ready！」が3月19日に発売された。テレビアニメ「黒岩メダカに私の可愛いが通じない」のエンディングテーマ「キュンアピ」、作詞に挑戦した「Progress」を含む全6曲が収録される。「遊び心」を大切にし、作詞をすることで自身をさらけ出したという前田さんに、サードEPについて聞いた。

　◇自分史上最も可愛い「キュンアピ」

　前田さんは　「ラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」「ウマ娘 プリティーダービー」「2.5次元の誘惑」などで活躍する人気声優で、2023年3月にアーティストとしてデビューした。新たなEP「I’m ready！」は「遊び心」を大切にした一枚になっているという。

　「『キュンアピ』を筆頭に、どの曲も言葉遊びだったり、遊び心を詰め込ませていただきました。どの曲も中毒性があって、頭の中でメロディーが駆け巡っちゃうんじゃないか？　『キュンアピ』はサビの『キュン』と『アピ』の歌詞もすごく面白くて、可愛いせりふもたくさん入っています。本当に楽しかったです」

　前田さんは「黒岩メダカに私の可愛いが通じない」に白浜美波役の声優として出演しているが、「キュンアピ」はキャラクターソングではなく、アーティストとして歌っている。

　「声色を可愛くしすぎると、キャラクターソングに聴こえるかもしれません。ヒロインの川井モナちゃんの気持ちで歌っているので、可愛さの案配を考えながら歌いました。アーティスト前田佳織里としては自分史上最も可愛い曲になりました！　明るくしつつ、モナちゃんの健気な乙女心も表現しているので、どうしたら伝わるかと考えました」

　◇頭の中を見られるような感覚

　「Progress」では作詞に挑戦した。前田さんは、シンガー・ソングライターの多部大さんとのコラボ楽曲「愛がとまんない！ feat. 前田佳織里」で作詞に初挑戦したが、同曲は自分が歌うパートのみの作詞だった。

　「フルで作詞に挑戦したのは初めてです。壮大な曲調で、自分の人生の軌跡を表現する曲にしようとしました。声優としてデビューする前の自分について考え、マネージャーさんだったり、ファンの皆さんのいつも応援して支えてくださる存在を感じつつ歌詞を書きました」

　作詞をしながら自身と向き合った。

　「難しかったです。最後までなかなか出てこないフレーズもありました。展開も多くてBPMも変わる、同じところが二度出てこない、まさしく人生のようなダイナミックな楽曲なので、勢いだけで書けるわけではありません。自分の中で格好よくしないといけないんじゃないかという先入観があったんです。うまいこと言おうとして、うまくいかなくて……。でも、詞と向き合う中で『へたくそで不器用でもありのままの私で伝える』という言葉が出てきました。結局、取り繕って、格好よくしようとしても、私は私ですし、今の自分の生き様を見てもらおうとしました」

　自身の思いを赤裸々につづった。

　「前半は、上京する前に私を表現した歌詞もあります。夢をかなえたいけど、どうしたらいいんだろう？と焦ってしまって、飛行機が飛んでいて、東京に行くのかな……と見ていました。早く上京したいと焦る気持ちがあって、その景色が目に焼き付いているんです。自分で作詞をすることになって、あの情景を表現したかったんです。作詞をすると、頭の中を見られるような感覚もあって、怖かったり、恥ずかしかったりもしますね。曲も作っていただいた田仲圭太さんが最終的に、キレイにまとめてくださって、感謝しています！」

　なかなか言葉が出てこないなど苦労もしたが、「ぜひまたやってみたいです！」と話す。

　「元々、思い付いた言葉をメモしていたのですが、『Progress』で作詞に挑戦してからは、音楽を聴く時の向き合い方が変わりました。この曲は何を伝えたいのか？とこれまで以上に考えるようになりました。私のメモ帳も徐々に増えているので、どこかでまたチャレンジしたいです。苦しかったけど、形になった時に爽快感がありましたし、新感覚でした。病みつきになっちゃうかもしれません」

　◇皆さんの協力があって完成するライブに

　4月27日にはLINE CUBE SHIBUYA（東京都渋谷区）で初のワンマンライブ「前田佳織里1st LIVE 2025『Are You Ready？』」が開催される。

　「この2年、アーティスト活動で遊び心を大切にしてきましたし、前田佳織里のライブに来たら、すごく楽しかった、びっくりしたと感じていただきたいです。遊び心のあるライブにして、せっかく来ていただけるのなら、楽しんでいただけたらうれしいです！　初披露の曲が多いですし、唯一無二の初ワンマンになることは間違いないです！　私も新鮮な気持ちだし、皆さんと一緒にライブを作り上げていきたいです」

　ライブのセットリストを「練りに練っています」といい、ファンを楽しませるための仕掛けも用意している。

　「セトリを考えるのは本当に楽しい。ライブのことを考えるのが、大好きなんです。皆さんの協力があって完成するライブにしたいし、みんなが楽しく汗をかくちょっとした演出もあるかもしれません。楽しんでいただきたい気持ちが200％あります！」

　前田さんは、根っからのエンターテイナーだ。ファンと一緒にライブを大いに盛り上げていくはずだ。最後に、今後のアーティストとしての目標を聞いた。

　デビューしてすぐの頃、右も左も分からない私を支えてくださったファンの皆さんのように、今度は私が恩返しにもっとみんなを引っ張っていけるように、もっとどっしりしなきゃと思うようになっています。前田佳織里のライブに来たら、絶対楽しいと思っていただけるように、もっと頼もしいアーティストになっていきたいです。それに、東京以外の場所でのライブなど、いろいろなところでステージを踏んでいきたいです。『今度来てください！』とお手紙をいただいて、すごくうれしいですし、もっと歌声を届けていきたいです」