未完漫画は結構多い!続きが気になる名作の感動よ再び!
更新日:2016/06/20 10:00
多くの読者の支持を受けながら、漫画家の不慮の死や事故、休載などによって、「未完」となってしまったコミック作品は数知れず。特に作者が亡くなってしまった作品においては、永久にその後の展開を知ることはできないわけですが、私たちは「想像」することができます。
だからこそ、未完でありながら、あるいは未完であるからこそ、今もなお多くの読者の心をとらえて離さない作品もあるのです。
ここでは、未完の名作漫画について、改めて振り返ってみましょう。
メディア化もされた少女漫画の名作
女性ファンの多い未完の名作といえば、コミック全23巻の大ヒット作「イタズラなKiss(フルカラー版)」 (多田かおる/ミナトプロ・エムズ) 。
ドラマやアニメにもなり、「イタKiss」の略称で親しまれた名作です!
ストーリーは、落ちこぼれの女子高生・琴子が、天才イケメン・入江直樹に告白してフラれるところから始まります。
ひょんなことから、琴子が入江家に居候することになり、ドタバタ事件を通して、いつの間にか惹かれ合っていくという王道のラブコメです。
『別冊マーガレット』(集英社)で1990年~1999年まで連載し圧倒的な人気を誇りましたが、作者・多田かおるの急逝により未完に。
最終回では、入江が琴子に「妊娠してないか」と尋ねて終わるという、あまりに続きが気になる展開での終了も話題にのぼりました。
この漫画、主人公の波乱万丈っぷりが作品の魅力の一つになっていますが、そもそも居候することになったきっかけが、新築した自宅が震度2の地震で全壊したこと。
震度2?
つい二度見してしまいそうですが、誤植ではありません。父親が欠陥住宅をつかまされて琴子の家だけが全壊。その結果、居候先が偶然入江家になるというトンデモ設定ですが、笑える悲劇が上手に盛り込まれているのもこの作品の特徴です。
ちなみに、読者の誰もが想像したイタKissの「その後のストーリー」については、多田氏の構想メモが存在。アニメ版では、それをもとに完結版が描かれています。
多田氏が存命していたら、おそらくまた少し違った形になったのでしょうが、多くの読者に愛されたがゆえに生まれた一つのエピローグ。皆さんも想像してみましょう。
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「イタズラなKiss」
(多田かおる/ミナトプロ・エムズ)
漫画の神様が託した夢
漫画の神様・手塚治虫の未完の大作についても触れておきましょう。
晩年も精力的に描き続けた手塚治虫は1989年、スキルス性胃がんによりこの世を去ります。その結果、『グリンゴ』『ネオ・ファウスト』『ルードウィヒ・B』といった意欲作が未完に終わりました。
いずれも晩年の手塚作品らしい魅力に満ちており、続きが読めないことは残念でなりません。しかし、それ以上に惜しむらくは、やはり手塚治虫がライフワークと位置づけていた『火の鳥』が完結しなかったことでしょう。
過去と未来が、現代に近づく形で交互に描かれてきた同作は、第12部の『太陽編』まで完成。
しかし、その後も『大地編』『再生編』『現代編』などの構想がありました。最後の『現代編』は、自身が「死ぬ瞬間に描いて終わる」と語っていたとされ、それにより火の鳥はようやく一つの長い物語として完結する――しかし、残念ながらその夢は叶わなかったのです。
未完の物語には、それに付随する別の物語があり、また読者の想像こそが作者に代わって物語を完結させる役を担います。
様々な未完のコミックに目を通し、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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作者
雨女
青年漫画やガロ系漫画を中心に、特にこだわりなく読んでいる。最近の(作品自体は最近ではないが)お気に入りは三宅乱丈の『ペット リマスター・エディション』。記事タグ
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