モモコグミカンパニーインタビュー(前編): BiSHのメンバーとして活躍!一番辛い時期を支えてくれた国民的漫画家や、今後一人で挑戦したいこととは?
更新日:2018/11/14 10:00
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーとして活躍するモモコグミカンパニーさん。「自分がステージに立つ人になれるとは思っていなかった」と語るモモコさんの一番辛い時期を支えてくれた国民的漫画家とは?ハマっている漫画、好きな男性キャラ、今後一人で挑戦したいことも教えてもらいました!
まるちゃんのように、少し冷めた子どもだった
――普段から漫画は読みますか?
小さい頃から家にたくさん置いてあったので読んでいましたが、よく読むようになったのは大人になってからです。でも「ちびまる子ちゃん」 (さくらももこ、さくらプロダクション小萩ぼたん/集英社) だけは、小さいころから大好きで繰り返し読んでいました。
モモコグミカンパニー
――どんなところが好きですか?
登場キャラクターがシニカルで、みんな個性的なところがいいですよね。お話は身近な出来事をテーマにされているので、いつ読んでも共感できちゃいます。
モモコグミカンパニー
本編はもちろんなんですけど、巻末に収録されている「ももこのほのぼの劇場」が特に好きでした。作者のさくらももこ先生が、“まる子”としてではなく作者さん自身の姿で登場するんですけど、そこで語られるエピソードが切々と訴えかけてくるものが多いんです。
- 少女漫画 ちびまる子ちゃん
- 4.5 (1504件)
――「ちびまる子ちゃん」 (さくらももこ、さくらプロダクション小萩ぼたん/集英社) の中で一番好きなキャラは誰ですか?
どのキャラも魅力的で好きなんですけど…やっぱり永沢くん(永沢君男(ながさわ きみお))ですね。アニメだとただの嫌な奴っぽいんですけど、原作でのひねくれ具合が本当に好きで、愛すべきキャラだなあと思います(笑)。
――まるちゃんと似ていると感じるところはありますか?
普通の子どもって、遠足や運動会などの学校行事をすごく喜ぶじゃないですか。でもまるちゃんは、いつも気乗りしない感じなんです。“何が楽しくて山なんか登らなきゃいけないんだよ”みたいな。私もどちらかというとそちら派の子どもだったんですよ。「普段から体育の授業で体を動かしてるのに、どうしてわざわざハイキングなんか行かなきゃいけないんだよ…」って、妙に冷めていたんです。
- 少女漫画 ちびまる子ちゃん
- 4.5 (1504件)
“さくらももこ”は小学3年生。とても小さくて女の子だから“ちびまる子ちゃん”とよばれている。 ...
でも、子ども心ながらに、そう感じるのは良くないことだと思っていて、そういう自分を封じて楽しいふりをしていたんです。大人になって読み返してみても、やっぱり遠足にワクワクしている他の子たちより、まるちゃんの方に共感できるので「自分は冷めた子どもだったんだな」と改めて認識しました。
モモコグミカンパニー
さくら先生の「ひとりずもう」を読んで人生が変わった
――「ちびまる子ちゃん」以外にもさくらももこ先生のエッセイも読まれていたのだとか。
エッセイもすごく好きで、色々と読んでいました。特に好きなのが「ひとりずもう」(さくらももこ/集英社)です。さくら先生の自伝的なストーリーなんですけど、人生が変わるくらい影響を受けました。
モモコグミカンパニー
さくら先生は、最初から上手くいっていたのかというと、全然そういうわけじゃないんです。本当は少女漫画のタッチで王道の恋愛漫画が描きたかったけど、落選しまくっていた過去があるんですよ。それで落ち込んでいた時期に、方向転換をしようと恋愛以外の漫画を描いたのが、後の「ちびまる子ちゃん」 (さくらももこ、さくらプロダクション小萩ぼたん/集英社) だったそうなんです。今こんなに世の中に広まっている国民的漫画が、作者が人生で一番落ち込んでいたときにできた作品だなんて衝撃的でした。さくら先生にとって、このどん底の時期がなければ、もしかしたら「ちびまる子ちゃん」 (さくらももこ、さくらプロダクション小萩ぼたん/集英社) はこの世に生まれなかったし、人々の間にも知れ渡ることがなかったのかなって。自分も落ち込んだときこそ、その気持ちをバネにして踏ん張らないといけないな、と思いました。
モモコグミカンパニー
――ご自身も、さくら先生のようなターニングポイントのようなものはありましたか?
私自身は、BiSHに入って人前でパフォーマンスをするということが挑戦で、人生のターニングポイントでした。もともと歌や踊りが得意だったわけではないし、もっと言うなら人並み以下しかできなかったので、BiSHに存在しているだけで奇跡みたいだったんです。メンバーのみんなより10歩くらい遅れてのスタートだったので、なかなか上手くいかなくて毎日のように“辞めたい”と泣いていた時期もありました。
モモコグミカンパニー
――どんなに辛くても辞めなかった一番の理由は何ですか?
BiSHのメンバーや曲が何よりも好きだったからです。自分が一番いいと思っているグループだったので、這いつくばってでもこの場所に居続けようと思えました。
今はBiSHとして活動するようになって4年目に入るんですけど、3年目あたりからだんだんできることが増えていって、楽しいと感じることが増えたのも、理由の一つかもしれません。
もともと文章を書いたりするのが好きだったので、作詞だけでなく、モモコグミカンパニーとして本を出させていただいたり、今回もこういう取材を一人で受けさせていただいたりとか。自分にしかできない仕事が増えてからは、辞めたい気持ちは薄れて「もっと頑張ってBiSHに恩返しをしていこう」と思えるようになりました。
モモコグミカンパニー
続けてきたからこそ今があると思うので、形を変えつつも諦めずにやってきたことが大切なんだろうな、と感じています。
さくら先生も、結果的には自分が最初に描きたかった漫画ではなかったんでしょうけど、それでも漫画が好きで書くことは辞めなかったので、そこはもしかしたら似てるんじゃないかなと思います。
いつか物語を書いてみたい!
――文章を仕事にしたいという思いは、昔からあったんですか?
昔から絶対に文章に関わる仕事がしたいと思っていて、コピーライターや作詞家になりたいと思っていた時期がありました。でも、どうやったらなれるんだろう、なれたとても全然だめなんじゃないか…という不安の方が大きくて。
今はBiSHのメンバーとして、作詞をしたり本を出したりして、別の形で「文章を書く」というお仕事が実現しているので、とても幸せなことだと思います。
モモコグミカンパニー
――今後、文章系のお仕事で挑戦してみたいことはありますか?
実は、小説を書くことに興味があるんです。先日、友達が「書いてみたから読んで」と小説を書いてPDFファイルで私に送りつけてきたんですよ。書き切った小説を見て「そうか、書こうと思えば書けるんだ。私にもできるかも」と勇気をもらったんです。
世に出す出さないというのは関係なしに、自分の力だけで1冊の小説を書き上げられるのは、本当にすごいことだなと思って、私も書き上げてみたい、と強く感じたんです。
でも、帰り道とかにお話の冒頭部分が思い浮かぶので、家に帰ってすぐノートに書いたりするんですけど、いつも1ページくらいで終わってしまうので、小説を書き上げるのは、本当に難しいことなんだろうな、と思います。
モモコグミカンパニー
――どういうストーリーを書いてみたいですか?
今の自分だからこそ書ける、心の捌け口となる小説を書きたいなと思います。それは今までの恋愛経験も含まれるかもしれないし、人間関係だとか、心の動きのことも書きたくなるかもしれない。いずれにせよ、書くんだったら経験にもとづいたリアルなものを書きたいですね。読んでいて、痛々しさに思わず胸が苦しくなるようなものを書いてみたいです。
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- 少女漫画 ライアー×ライアー
- 4.1 (1601件)
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写真:原恵美子
プロフィール
モモコグミカンパニー
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーの一人。メンバー内でも一番の本好きで知られ、BiSHの楽曲でも多くの作詞を手掛ける。2018年3月発売、BiSHの歴史を綴った「目を合わせるということ」(シンコーミュージック・エンタテイメント)は、自身初の著書となった。
◆BiSH 公式サイト
◆WACK (在籍事務所) 公式サイト
◆モモコグミカンパニー 公式Twitter
https://twitter.com/gumi_bish
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“さくらももこ”は小学3年生。とても小さくて女の子だから“ちびまる子ちゃん”とよばれている。 ...