7歳年下部下(男)はHなオモチャ?『はだかの林檎』あらすじ&登場人物紹介
更新日:2017/02/08 10:00
ズバリお聞きします。ベッドのうえで『演技』しちゃったことありますか? 仕事もプライベートも充実している大人の女性でさえ、Hに悩んでしまうことが少なくありません。
もしも状況も立場も気にしないで、女性の本音を全開にできてしまったら!?
誰にも言えないけれど、誰もが心に抱いているワガママ。
それは――「女だって気持ち良くなりたい」という願望ではないでしょうか。
年下部下とカラダだけの関係を持ち始めてしまう「はだかの林檎」 (山崎紗也夏/日本文芸社) では、30代独身の主人公女性が戸惑いを抱えながらも快楽にのめり込んでいくHシーンが盛りだくさんです。
あらすじ&登場人物の紹介に加え、思わず共感してしまうおすすめの本音ポイントを3つピックアップしました。本作の魅力をたっぷりご案内します。
男に抱かれるのではなく、男を抱く
主人公は沢村林檎(さわむら りんご)34歳、独身のOL。きれいなウェーブがかった黒髪と、さまざまな経験を積んだ大人の女性ならではの落ち着いた雰囲気をまとっています。仕事もプライベートも順調にみえる林檎でしたが、27歳の部下・風間祐介(かざま ゆうすけ)との、ある一夜をきっかけに始まったカラダだけの関係をやめられません。
なぜなら7歳年下の部下に手を出したことも、なりゆきでHをすることも、“本当はいけない”ことという、背徳感が快楽になってしまうから。
いつも林檎がホテルに誘い、それに部下の風間も何も言わず従う、主従のカンケイみたいですね。しかも林檎は男に抱かれるのではなく、男を抱くんです。
自分のペースで気持ちよくなろうと主導権を握る林檎。憧れちゃう~!
しかし年下部下を「私の性欲を満たす玩具……!!」と言い切るのも、実は苦いトラウマが影響していました。
女だって乱れる!
結婚適齢期を意識する30代。林檎にも結婚を考えた男性がいたのですが、ある晩、上からの体位で激しく乱れてしまったのです。ふと気づくと彼からは冷めた目線が…。間もなく二人は破局してしまいます。
未だに女性に性欲があることが信じられない、なんて思い込んでいる男性も少なくないですよね。
しかし、風間はこれまで林檎が経験した男とは違うんです。そもそも主導権が林檎にあることも、抱かれることも拒否しません。
その優しさに包みこまれながら、女性が気持ちよくなって何が悪いのよ~、と開き直ってカラダだけの情事に溺れてしまう状況も共感してしまいます。
むしろ風間は3度、4度と肌を重ね、ベッドでは林檎の快楽のために尽くしてくれるのです。
足の指先や背中の弱いところを、だんだんと刺激します。女をイカせようと激しくするだけではない風間のHに満足させられていました。林檎は「結婚して」と逆プロポーズしてしまうくらい!
もちろん急な告白に、風間はたじろぎます。そうして林檎自身も思わず口走った内容に動揺してしまうという連鎖。過去の嫌な思い出を消してくれる存在に、林檎もつい気が緩んでしまったのかもしれませんが、あえてプロポーズの返事を聞こうとはしません。
というのも、大人の林檎にはわかっていたんですよね。
林檎にとって風間は単なる快楽のオモチャであるからこそ続けられる関係だということを。風間に愛を求めてしまったら…。これまでと同じ恋愛のように、たやすく壊れてしまうという危うさを感じ取っていたのかもしれません。恋愛感情のないカラダだけの関係だから、気持ちよくなれる。でも林檎が本当に求めているのは、快楽だけなのでしょうか。
カラダだけを求めあっていた林檎と風間がどんな関係に変化していくかにも大注目です!
カラダが疼いたら本能に従いたい
連載ならではの展開で、林檎と風間の関係は、次第にエスカレートしていきます。ラブホテルに誘うのはいつも林檎からでしたが、ある仕事のミスを埋めるため休日出勤した日のこと。
オフィスは二人きり。誰もいないことをきっかけに、衝動に駆られてしまします。最初は風間をなぐさめようと余裕を見せた林檎でしたが、普段は味わえない快楽に自分を止められません。
普段の姿から乱れる様子なんて誰も想像ができないはず。しかも頼れる上司でいなくてはいけないのに…。そんな背徳感による快感が林檎を襲いました。
それからも続々とこんな状況どうするんだろうというシチュエーションが続いていきます。
例えば、林檎が初めて風間を自宅に招いたときのこと。「オトコを家に上げた」この事実からその後に予想されることはひとつ。林檎も少し期待していました。
しかし!
いつも林檎のペースに合わせ、受け身でいてくれた風間でしたが、この時ばかりは違った一面を見せるのです。「痛い」と心でつぶやく林檎を無視し、ムリヤリ押し倒して自分本位なHが始まります。
これまで風間が見せた優しさは偽りだったのか? 戸惑いながらも林檎は、静かに心を決めました。
「結局好きになった私の負け」
そう思い、そのまま身体を差し出す林檎。ですが一方でひとつの思いにも捕らわれます。
「この男と寝るのは今日で最後にしよう……」
風間へ抱いていた密かな思いを、恋心だとようやく自覚した林檎。しかし彼女は本当の思いを伝えることはできませんでした。
宙ぶらりんな気持ちのまま迎えた社員旅行でも急転換が待っています。
ひょんなことから押し入れに隠れた林檎と風間の目の前で、いや、ふすまの向こう側で他人の情事が始まってしまうトラブルも起こります。やおら視線を交差させる二人ですが…。
カラダの疼きに耐えきれず本能に従うことに。言葉で「好き」という正直な気持ちを伝えるより、快楽を求めることを選択してしまう林檎。でも大胆に体を交わせても、本当の気持ちを隠してしまう。大人だからこそ臆病になる恋にやきもきしてしまいます!
でも本当は、心も体も求め合いたい
自分の快楽のために、背徳感を楽しんだ林檎は、あえて相手の快楽を考えてきませんでした。ただ男を抱き、ただ男に抱かれるカンケイ。
最初は男のカラダを手に入れるだけで納得していたはずでした。風間を手に入れて、全て自分のものにしたような気になっていた。しかし、いつまでも本心を隠し続けることはできません。
「カラダからはじめた関係は心まで届かない」
風間の優しさに触れる度、林檎は相手の心も手に入れたくなっていたのです。相手の心をハダカにするために、何も着飾らないハダカの林檎を見せることができるかどうか? 大人の男女は、経験を積んだ分プライドも高くなってしまうのが恋の弱点かもしれません。
しかも林檎と風間は普通の恋愛とは順番を違えた男女です。そんな二人の選択と結末に、新しい恋のかたちを見たような気がしました。
いかがでしたか? 「女だって乱れる!」「カラダが疼いたら本能に従いたい」「でも本当は、心も体も求め合いたい」のチェックポイントに共感された方には本作はおすすめの一冊です。もちろん最初は快感が欲しいだけだった林檎と風間の関係がどのような最終回を迎えるのか。ネタバレになってしまうので、これ以上はお伝えできませんが、気になる方もぜひコミックで確認してみてください。
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作者
小野寺 ひかり
栃木県出身。本、映画、演劇をこよなく愛する文筆・脚本家。根っからの文化系ですが家にいるよりも外に出かけることが好きです。 最近は本屋・古本屋の雰囲気を楽しみに、首都圏各地を探訪中。なお、その度に買い込むので積読の山が減る気配はありません。 不動産、広告営業職も経験しながら「spark joy (ときめき)」をテーマに日々活動中。似ていると言われて嬉しかった芸能人は、能町みね子さんと久保ミツロウさんです。Twitter:@OnoderaHikari記事タグ
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