4.0
「そこそこ」の遠さ
ダメ人間ばかりの話。
ただ、その描き方のさじ加減は巧妙で、
「現実には人間なんてこんなものかもしれない」と、
「いや、いくらなんでもこれはないわ」と、
「あれ、ダメ人間にしてはやるじゃん」の間を、登場人物たちは浮遊する。
リアルな共感性と、漫画としての演出のバランスが秀逸で、小気味良く読める。
その中で、「そこそこでいい」というトビオのリアリティーがいい。
この価値観を漫画の主人公に置いたのは、現代漫画のひとつの発明かもしれない。
しかし、トビオは知る。
「そこそこ」は、すごく難しい、ということを。
それは多分、今の時代、多くの若者がぶち当たる壁なんじゃないか。
この漫画ほど派手にじゃなくても。
そういう意味では、すごく時代性をとらえた漫画だと思う。
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