5.0
牛のジェットコースター
死の予言から逃れようとする若者たちのサスペンス。
「件」とは一体何なのか?
運命を変える術はあるのか?
というのがストーリーの基本線だが、死に直面した登場人物たちの生き様や、交錯する思惑も見もので、「みんなで協力して運命に立ち向かう」という単純な構図とは一線を画している。
時系列を錯綜させる構成や、一種の群像劇的な見せ方も、技術の高さが半端ではない。
「モンタージュ」にしてもそうだが、この作者は作中で時系列を操作するのが上手い。
そしてまあ、信じられないくらいに物語は動きに動く。
本当に、動きすぎて困った。
この過剰な「動き」を受け入れられるかどうかが、評価の分かれ目になると思う。
個人的には、大満足。
どちらかと言えば、ジリジリ迫りくる死の恐怖を、牛のように単調な動きのスローなストーリーで見せるのが似合いそうな題材なのに、繰り広げられるのはジェットコースターもびっくりの怒涛の展開。
あまりにもスピーディーで、あまりにもサスペンスフルな傑作。
- 4