70話は読むべし
無料掲載を読んで気に入りました。最初はドジな女の子が優秀男子と一緒に住む“鉄板ネタ”かと思ったのですが、何かに惹かれ一気に70数話まで購読してしまいました。
その「何か」とは何か?主人公の長谷さんが、キレ者ホテルマンという、一見華やかに見えるが実は非常にキツい職業に就いていることに現実味を感じたからかなと思います。疲れた心と体にモモのような天然で素朴で思いやりのある、自分にはないものを全て持っている女の子がうまく染み渡ったのだなと共感できました。
70話は、自分より一回り以上も歳の離れたモモと出会えた長谷さんの喜びと恐れが詩で表されています。人間は欲しいものを手に入れると、途端に失う不安にかられます。目覚めてすぐベットの隣を手探りで確認するクセ、いた時の安心感、完全にあるあるです。「自分のこのような恐れをあなたは知らない、だが知らなくていい」のくだりは傑作です。「あなたは知らない」で終わっていれば普通の男、「知らなくていい」まで言えるのが、成熟した大人の男、つまり長谷さんなんですよ。このフレーズがずっと心に響いています。
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