5.0
心に残る切なさ
絵が綺麗で引き込まれました。
人間と狐、相容れない切ない思いを残したまま、二人は別れてしまう。ハッピーエンドではない終わり方で、不思議な感覚で終わってしまうのですが、人間との恋を叶えるためなら、狐に戻れなくなるのも仕方ない。というなら、理解できるのですが、最後に別れて、「記憶をなくしてしまう」ということが、なぜ?という理解が追いつかず何度か読み返してもわかりそうでわからない。二人が望めば、ずっと二人でいること、人間の形のまま、人間の世界で二人で生活。という選択肢はなく、あくまでも狐のしきたりのなかで、ルールが決められている。狐のギンが、名前を贈られ、最後に狐の姿で鳥居にたたずんでいて終わりなので、ちょっと納得がいきませんでした。名前を贈られることで恋が終わってそれでいいの?私がギンなら、月子と結婚し、狐の里から逃げて一緒に暮らすことを望むのに。と最後が気にかかる終わり方ですが、幻か、曖昧なまま終わるので、引きずられて考え込んでしまいました。とてもいいお話です。
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