4.0
世界の終わり
世界の終わり、というと大袈裟だけれど、子どもの頃の私たちの世界は、小規模なレベルで言えば、しょっちゅう「終わって」いたのではなかろうか。
大好きな友達と喧嘩をしたとき、親に強く否定されたとき、大切なゲームのセーブデータが消えたとき、それこそ世界が終わるほど傷ついたものだ。
そういう「あの頃」の感覚を、時代特有の終末感と重ね合わせて、上手に表現した漫画だと思った。
この漫画にあるように、私たちの「あの頃」には、小さな世界を傷つけようとする怪獣も(人によっては、たぶん恐怖の大王も)いた。
私たちはそれに対抗する術を持たず、かといって、タイミングよく現れるヒーローもいなかった。
そのやるせなさと、無力感。
それもまた、この作品ではとても明瞭に描かれていた。
胸が痛くなるくらいに。
私たちの小さな世界は何度も壊れ、壊され、それでも私たちは、粉々になった世界の欠片を何とか拾い集めて縫い合わせて、大人になってゆく。
それは目を背けたくなるくらい切なくて、あり得ないくらい尊いことだと私は思う。
それだけに、ラストは残念だ。
色んな解釈はあるのだろうが、私は、何か投げ出したような印象を受けてしまった。
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