5.0
どうかお幸せに
前作『那波18歳♂ママになりました』の時から大好きな二人でした。
今回の『雪の鎖』でより好きになりました。
前作でも苦難の多かった二人ですが、今作でやっとスタートラインに立って歩み出した、そんな印象を受けました。
過去を悔いて、そのせいで竜也に気持ちを全て伝えられなくて苦しむ雪さんは見ているこっちが切なくなりましたし、
物語が雪さん視点で進むために竜也の真意が終盤まで分からなくてハラハラすることもありましたが、
心が温かくなるラストを迎えることが出来て良かったです。
前作でも雪さんの竜也への気持ちは描写されていたのですが、今回雪さんを主人公にすることで、その気持ちの深さをより知ることが出来ました。
「好きだから過去を知られるのが怖い」、から「過去を知られて去られても、お前に愛された記憶だけでこれからも生きていける」に気持ちが変化した雪さんのシーンは心が苦しくなりすぎて平常心で読むことが出来ませんでした。
覚悟を決めて全てを伝えた雪さんへの、竜也の返しにも泣かされました。あの言葉で本当の意味で雪さんは救われたんだろうなと思いました。
雪さんの相手が竜也で本当に良かったです。
まだ越えていかなくてはいけないものは沢山ある二人ですが、最後の雪さんの笑顔を見ると、きっと竜也と一緒に乗り越えてくれるんだろうという希望が見えました。
『過去』と『現在』を受け入れて『未来』へと一緒に歩いていく二人を祝福したいです。
『雪の鎖』の直前の話として、竜也の過去の話が別に存在していますが、是非そちらも読んでほしいです。分類上は前作のファイル52と53に入っています。
那波本編→竜也の過去話→雪の鎖 で綺麗に話が繋がります。
描かれているものは少しずつ違いますが、このシリーズの根底に流れているテーマは、『家族』の愛についてなんだなと全てを読み終えて感じました。
竜也の過去話と『雪の鎖』は現在書籍化する予定がないそうで残念ではありますが、出版社への要望が多いようならば紙媒体も出版されるとのことです。
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