妊娠しているにも関わらず妊婦健診を受けていない妊婦のことを未受診妊婦と呼ぶ。そして、その妊婦が出産直前に病院に来ることを飛び込み出産という。未受診妊婦を受け入れる際の病院側のリスクは大きい。病院が受け入れを拒否するために、妊婦がたらい回しの状態となり母子ともに危険にさらされることも少なくはない。

今日もそんな未受診妊婦が病院にやってきた。もう陣痛が始まっていて一刻の猶予もない。「お金がない。この子を育てる自信もない…今まで誰にも相談できなくて…医者なんかにはわからないんだよ！」
未受診なのは母親のせいでお腹の赤ちゃんは何も悪く無い。だから…

妊娠は何が起こるかわからない。昨日の検診では順調だったのに、今は「前期破水を含む切迫流産」…つまり流産になりかけている状態。赤ちゃんは今21週で推定体重は420g。今すぐ出産となると赤ちゃんは100%助からない。

妊娠延長のための入院の開始。
歩行禁止の絶対安静。赤ちゃんの救命率はお腹の中にいる時間が長くなるほど上がっていく。赤ちゃんを助けるための長く苦しい戦いが始まる――「先生、毎朝目が覚めるとこの子に話しかけるんです。今日も２人で一緒に頑張ろうって…」

「先生、俺ね…淋病なんです。」妻が妊娠中なのに、不倫して淋病になってしまったどうしようもない男が相談にやってきた。すぐに母体も検査したほうが良いが、浮気はバレたくない一心で内緒で検査するように頼み込んできたのだ。

でも、淋病は流産や早産のリスクを高めるし、赤ちゃんに感染すると最悪失明する恐れもある。
たかが淋病では済まされないのだ。奥さんに内緒にして赤ちゃんにもしものことが起きたらあなたは責任取れますか？