5.0
三歩くんの人間性に感涙!
「毎日無料掲載」で11話まで読んだところです。山岳救助という職業漫画ですが、山の厳しさもさることながら、主人公三歩くんの人間の温かさというものに感動しないではいられません。
11話のラスト、背負った救助中の方にずーっと話しかけているシーン。200Mも滑落しあんな状態の人間が助かる見込みがないこと、それを三歩くんも的確に把握していることを十分に描いておきながらの声掛けシーン。もう泣けてきて泣けてきて。
11話は正規の隊員の別件救助もあり、そちらは遺族に詰られたりするわけですが、読書としては一瞬「趣味で山登りをしたあなたの身内を隊員は危険の中で大怪我までしながら連れ帰ってくれたのに」と、ややもすれば自己責任論が脳裏に浮かんでしまいます。実際の事故でも(特に禁止されている場所に行く人たちの事故遭難)TVを見ながら思うことがあります。
でも、そのニュースの裏には大勢の救助隊の皆さんの仕事があって。その方たちが万が一にも要救助者を現場で責めるような声掛けをしていたら…人間は亡くなっても聴力はしばらく残るというのを聞いたことがあります。
三歩くんの背中でとうとう息絶えてしまった登山者。生きた人間から肉塊へ。しばしの間。そして、穏やかに声掛けします。「本当によく頑張ったね。オレは島崎三歩。山を登りにきたあなたのことを忘れないよ。約束する」
残された家族を思い自分を責めているであろう登山者の最期に聞く声がこうであって欲しいと願わずにはいられません。この登山者の方は本当に幸せでしたね。無念の思いのまま亡くなりただの肉塊としてヘリにぶら下げられた登山者との対比もお見事。
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