野球少年の恒久的な夢と親子関係
野球ってスポーツが夢の様な対象であった世代のお話しですね。
ミスターとワンちゃんと聴いてピンと来る人は多分はまります。
私はドンピシャなので一気に読みました。
所謂社会的に困った部類の人種ながら野球の才に奇跡の様に恵まれ周囲の人々にそっと助けられながらも夢を追い続ける父、小学校や周囲からは秀才と認められ自身もそう認識しているシニカルな息子、そして夢を持ち続ける夫を頑なに信じ愛情を持ちつつも離れて暮らす母。
キャラクターが本当に良い。
母は小津映画に出て来るヒロインの様だし、父は日常はどうしようもない悪たれ(だが憎めない)で暫し騒動も起こすのだが一度バットを握ると宇宙のはて、エジプトの砂漠までぶっぱなす神の様なバッティングを見せる(個人的には清原的だなと)強打者(但しプロはおろかアマにも属していない)そして息子がとても良い。
一見父を見下し、そんな父を思い続ける母に困惑しながらも、母の言い付けに従い一夏だけ離れて暮らしていた父の下で暮らす 。
端からバカにする、父を名前で呼び捨てる、罵詈雑言のオンパレード。
でも、本当は父さん大好き。
白球を空に打ち上げるただそれだけなのに、格好良いなあ。
そんな本音が時折覗けて堪りません。
ただ、これだけ世界観が昭和の香り満載なのに舞台が平成なのが納得行かない(笑)
野球と言う夢が輝いていた頃を懐かしむ事が出来る優れた漫画です。
- 2
4.0