4.0
無骨なオオカミ×一途な健気ワンコ青春BL
初めて読んだよも灯先生で、絵は受けが中性的な感じ。
※以下、ネタバレ含みます。ご注意ください。
文武両道な人気者で、告白されると付き合ってはフラれ続ける、流され侍の高校生・武内(ノンケ攻め。表紙右)は、チャラ系美少年の柚木(ゲイ受け。表紙左)に告白され…。
サラッと爽快で読みやすい青春BL…だが、実は柚木の背景(過去)が、なかなかエグい。
中学時代にはゲイを自覚し、ノンケ同級生に玉砕覚悟の告白をするが、一旦受け入れた相手は周囲にバレた瞬間に裏切る。
その後、付きまとってきた先輩連中を追い払った教師(ゲイ)は、「お互いマイノリティだ」「安寧に生きたいだろう」と、柚木に強引に関係を強要する。
作品中では、柚木の持つ明るさや素直さ健気さ、ラストの気の強さでカバーされてるが、結構な胸クソな数々。
例えばその教師とか、惨めな己れ(性的指向ではなく本人の資質)を上書きするように、自分より雛で脆弱な者を見つけてはマウンティングを取り、自己肯定や社会的認知を築くのが、ゲスで吐き気もするが、そういう側面も世の中にはある。(自分も小中時代にヤられたw)
信頼や尊敬を裏切り、生徒児童から強引に性的搾取した教師でも、被害者(社会の安寧?)を守る為に加害者ユル放置の自己都合退職とか、生ぬる過ぎて再発案件だろとマジ思うんだがww
閑話休題。その時介入して助けた武内に、柚木はストンと恋に堕ちる。(柚木が被害者だったのを、武内は知らない。)
一方の武内は、無骨なモテ男子だが、恋愛感情を知らず。
何と言うか、少女漫画でよくあるヒーローの「生育歴から俺は愛を知らなかったけど、一途なキミをもっと知りたい…これが愛なのか!」的な。(誠実でやや俺様Sっ気有りww)
だからこそ、不憫な健気ワンコ受けの柚木に、無骨なオオカミ攻めの武内が裏表無く好きになっていく様子は、切なくて可愛く読みやすい。
ただ、展開が安易で薄っぺらい…と思うのは、主人公2人のいかにもな作り物感(脳内産物臭が強い)や、敵役2人のお粗末さもあるが、自分はゲス教師の話から永井三郎先生の『スメルズ…』の18~19話番外編や『深潭回廊』を連想し、結果として『スメルズ…』全話が思い浮かんできたからで。
よも灯先生の描きたいことと『スメルズ…』は全く違い単純比較出来ないが、話や人物像に感じる深度など、個人的な嗜好で星4で。
-
3