2.0
考えさせられるが主人公が嫌い
62話、毎日無料分(のんちゃんの小学校入学) まで読みました。
療育への考え方が今と少し違うように感じます。
現在では、『違いを認めつつ、より個人の幸福を高める』 方向に動いていると思うのですが、 『障がいがあっても皆と同じに』 という価値観の頃の作品かな、と窺える部分が随所にあり、それだけで読むのが少ししんどいです。
もっとも、少し前までは、障がいがあることは、半ば公然と貶められてきました。私の母の世代なんかだと、表向きは差別しないけど、影では平然と差別意識をあらわにしてて、自分の親でも見ていて気持ち悪かったくらいです。
そこから 『平等に』 が当たり前になってきた時代が少しあって、そして今…… と考えると、少し前の考え方で描かれたマンガの価値観が全く違うのは、仕方ないかもしれません。
障がいを巡る、さまざまな人の立場が割かしきちんと描かれているので、そこからいろいろ調べたりして考えさせてもらい、本当に勉強になりました。
…… ですが。ここからは、個人的感情での意見になります、ご容赦を。
主人公が超嫌いです!
障がいのある子に対して、不安や焦りや苛立ちなどを、どうしても抱えてしまうのはわかります。
が、自分がそうであるくせに、対外的には 『明るく幸せで正しいダウンママ』 アピールが強すぎる! なんなのこの意味不明な自己承認欲求。
アカの他人の夫婦にいきなり首突っ込んで 『ダウンちゃんは天使。大丈夫だから安心して生んじゃってください』 って……
そんなの、一生親身になって関わる気じゃなきゃ言っちゃいけない言葉でしょ。
『私は勇気出して生んだけど結構勝ち組なのよ』 ってマウント取りに行ってるようにしか見えなかったわ。
そもそも、出生前診断が悪いんじゃなくて、問題なのは障がある人が生きにくい社会と、それに影響される親の思考でしょ。
診断自体は心の準備をするためにもなるのに、 悪いと決めつける描き方、全国の産科医に失礼と思います。
そして、この辺は先ほども書いたとおり、時代的な価値観の違いだと思いますが、他人の迷惑を省みない 『普通に』 『平等に』 の圧が強すぎる。
同級生からケガさせられたら、相手の障がいの有無に関係なく、普通の親は良い気はしません。それが普通で平等の実態です。
都合の良いときだけ 『差別しないで』 を振りかざす身勝手さに呆れました。
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