4.0
11話が最も泣ける
これは、単純に「汚い、気持ち悪い、怖い」の表面だけの話ではなく、特殊清掃と言われる、主に孤独死や自殺現場の後片付けをする職業を通して描かれる、人間模様、いわゆるヒューマンドラマです。
ともすれば重くなり過ぎてしまいそうなテーマを軽いタッチの絵柄が和らげ、ユーモアを交えながら描いています(グロテスクなシーンはぼかし、虫は擬人化の配慮あり)。
基本的に1話ずつの読み切りですが、その中でも、「あるゴミ屋敷」での清掃の話は依頼主の謎を残しつつ、時々続きのエピソードが語られています。
主人公が請け負う現場や依頼人も様々で、世の中には本当に色んな人がいるものだと思わされます。そして、人が最後を遂げた場所での片付け、清掃を通して部屋の主人(あるじ)の生活、趣味、人間性が垣間見える瞬間があります。
「孤独死」イコール「可哀想」ではないこと、例え人から見て悲惨に思える最後を遂げたとしても、「その人はその人自身の人生を全うした」のだということに気づかされます。
個人的に1番印象に残るのが11話のストーリーです。
「伝えたい気持ちがあるけど、もしそれを相手に拒絶されてしまったら・・・」、そんな怯えから伝えられずじまいになっていた「切ない想い」。それがやっと伝わる瞬間には涙せずにはいられません。
生きているうちに伝えられていたら、幸せだったのかもしれません。でも、時を経てやっと伝わった想いだからこそ、そこに人は心を動かされるのだと思います。主人公が特殊清掃の仕事を「天職だ」と思えるきっかけにもなったストーリーでもあります。
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