【ネタバレあり】零落のレビューと感想
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血塗れの自意識
読んでいて気分のいい漫画ではなかったし、人に薦めようとも思わない。
しかし、これほど壮絶な作品には、ほとんど出会ったことがなかった。
半自伝的な漫画なのだと思う。
イメージとして(浅野いにおはこういう形容を気に入らないかもしれないが)、私は太宰治を想起した。
ちなみに私は、太宰が嫌いである。
書けない作家の苦悩、というモチーフだと、私は「バートン・フィンク」という映画が大好きなのだが、あれは、コーエン兄弟が作家としての自意識をかなりオブラートというか、創作の衣に包んで提示した作品なのだろうと思う。
作家はそれで正しいのだと私は思うし、私のそういう趣味みたいなものは、太宰を嫌う理由と無関係ではないと思う。
だが、本作で浅野いにおがやったことは、その百倍あからさまで、激烈である。
それは、自意識を作家性の中で表現する、というレベルの行為ではなく、血だらけになりながら紙面に自意識を塗りたくるような営みであったように思う。
浅野いにおは、この漫画を描きたくて描いたわけではない気がする。
描くべきだと思ったわけでもない気がする。
ただ、描くしかなくて、描いたのではないか、と。
私は、そんなふうに思った。
ラスト近く、サイン会のシーンで、主人公の漫画に救われたと涙ながらに語る熱心なファンに対して、「君は何にもわかってない」と主人公は言う。
これほど絶望的で、これほど美しいシーンをほとんど知らない。
私は何となく、浅野いにおはこういう描き方をしない(ないし出来ない)作家だと思っていた。
きっと私も、「何にもわかってない」読者の一人なのだろう。
ただ、浅野いにおが本作で試みたことが、勇気などという言葉では表現できない、命がけの行為であったということだけは、わかっているつもりだ。
だから、もう、それだけで。
浅野いにおの試みが、成功したのか、失敗したのか。
それは作家としての飛翔だったのか、墜落だったのか。
その是非も価値も、私はもう、問わない。by roka- 1
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4.0
すごく荒んでるね
長編マンガが最終話になって、
燃え尽き?
全てに無気力な漫画家さんのお話。
クリエイティブなお仕事の人はこうやって出し尽くして、次やりたいことが出ないってこともあるのかな?
宮崎駿監督が長期休業になったのを思い出しました。
自分をすり減らしながら、これって必要なこと?くだらない作品?とか思いながらモヤモヤ進むって辛いだろうな。
無限にアイデア出てきて止まらないって人はいないだろうしねー。- 0
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4.0
自分の仕事や育児が充実しているので、
こんな閉塞感は、今の自分にはないものだなと
新鮮に感じ、面白かった。by Blue-show- 0
5.0