5.0
視えてしまうお話
人ならざるモノが視えてしまう2人のお話。
ただ物語はそれに焦点を当てたものではなく(個人的な解釈としては生死を分かつような極限状態に長く晒された人間が見る一種の逃避を兼ねた幻影かなと思う)戦渦の中の欲望。
産まれてくる命は美しくて尊いのに壁一枚向こうではその命を奪い合う矛盾を描いてる。中谷ドクターが最後に「俺たちは免疫細胞みたいなもの」と言っていたことに妙に納得。変に正義感を持ったり、精神論や極論をぶつけたりせずに上手く例えたのは実際の誰かの言葉を引用したんだろうか?と思った。
面白いとか興味深いとかで片付けられる作品ではない。教科書に載せるのは無理でも夏休みの読書課題にどうかな。
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