もう少し読み進めて欲しい
無料配信分を読み終えたとき、主人公の弓槻の「上司とは寝るが、枕ほど大げさなものでもなく、出世したいわけでもなく社内での立ち回りを多少良くしたい程度、他の男も後くされなく行為がデキる奴をキープしている」という中途半端さが不快で、どうしても好きになれなかった。主人公に共感できないどころか、不快感があったら普通はポイント消費してまで読まないのですが、大嫌いな同期・七瀬となぜ男女の関係になったのか知りたかったので、読み続けてみました。
弓槻は初めから「アバズレ」だったわけではない、ではなぜそうなったのか。
なぜ全てに無気力になったのか、それを正当化する気にはとてもなれないけれど痛みはわかる。
そして、七瀬は時に弓槻を傷つけ、時に彼女を包み込む精神的支柱になる。
七瀬が弓槻を蔑みながらも、婚約者がいるにもかかわらず彼女のそばを離れず守る理由が徐々に明らかになるにつれ、せつなさと悲しみが倍増する。
ストーリが進むなかで弓槻のモノローグが多くなり、彼女の痛みや虚無感、七瀬への身体の依存が心の依存、愛情へと変わっていく様が綴られていく。
当初、痛いだけの女だった弓槻が今では痛々しくて抱きしめたくなる。
そして、七瀬と幸せになって欲しいと願わずにいられなくなる。
無料配信分だけではこの評価は正直仕方ないと思いますが、少しでも気になった方は、もう少し続けて先を読んで欲しいと思います。
ほんの少しですが胸がえぐられます。
- 86
4.0