5.0
高校生のラブストーリーだけでなく
幼い頃に事故で母親を亡くした花ちゃんと、病気で母親を亡くした弓弦くん。2人は10年の時を経て再会しますが、弓弦くんは花を覚えておらず?という悲しさと驚きとで始まります。
男の子の方がツンデレで素直に幼馴染への恋心を認めらないのかな、かわいらしいなと思って当初は読んでいましたが、深く切ないラブストーリーが待っていました。
母親を亡くし一人になった弓弦くんは親戚中をたらい回しにされ、自分の置かれた環境や存在意義に対して壊れかけている心をケンカで紛らわせている悲しすぎる過去がありました。花ちゃんと再会してからも昔、同じような境遇でお互いに救われていた元カノのルカちゃんやケンカで弓弦くんが怪我をさせ水泳の選手生命を絶ってしまった昂くんにより、花ちゃんと離れていた間の弓弦くんの過去が明らかになります。
花ちゃんはいつも変わらない明るさ、優しさで弓弦くんと向きあい、荒んでしまっていた弓弦くんの心は段々と開かれていきます。弓弦くんの表情や言葉がどんどん変わってくる描写に先生の画力の素晴らしさを感じました。ただイケメンだけでなく、どこか憂いを帯びた表情は最終話では前を向いた優しい顔に変わっていました。
個人的には弓弦くんのお兄さんの未来くんが好きです。医者家系の長男に生まれ、母親の違う弟と必死に向き合う姿は素敵でした。
最後に弓弦くんは大切な花ちゃんを本当に傷付ける衝撃的な展開がありますが、改めてお互いが大切な存在だと気づき、弓弦くんは夢に向かって踏み出します。
ただの高校生のラブストーリーと思って読み始めましたが、期待を良い意味で裏切られた作品でした。先生の他の作品もぜひ読みたいと思います。
また、遠距離恋愛でもラブラブな二人をどこかで見たいです!
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僕に花のメランコリー