3.0
初めての歴史ものということで野心作であることは間違い無いと思います。でも…ゴメンなさい歴史好きの目からはかなり物足りないです。
史実に対する新しい観点として上杉謙信女性説を採用したのは面白かったし景虎周囲の人間模様も丁寧に描けていて良かったけれど、長尾家武将の面々や小島弥太郎があまりにも可愛すぎて…弱肉強食の血で血を洗う戦国時代、取り巻く状況もやっている事も極道並みの闇世界なのにその闇も人間臭さも全然感じられないところにリアリティの薄さがまずありました。
武田を描くにしても資料の読み込みが甘いなーと…信玄の貴族然としたルックスは新鮮だったものの信義に篤く内政に軍事に辣腕を振るったカリスマ武将の魅力を描いていないところが謎だし、山本勘助があんな小ちゃい虚弱そうな男なのは何故…馬場信春とか高坂弾正を登場させた意味?典厩信繁始め討ち死にシーンに感情移入全く出来ず、温泉で何度も出くわすのも不自然。
Wikiから貼ってるだけの部分もバレバレで、やっぱり歴史に対する造詣の浅さが現れてしまっています…
(細かいですが、信玄の弔いで皆黒装束だったけど黒を着るのは明治以降の新しい習慣なので戦国時代に黒装束って凄い違和感です。)
足利義輝が折角登場したのに設定が雑で突然ナレ死ししてしまったのも残念。
女性漫画家の歴史ものは古いところで池田理代子「ベルサイユのばら」大和和紀「源氏物語」山岸涼子「日出処の天子」などが有名で、竹宮恵子も「吾妻鏡」を描いていますが全て歴史観が確立された名作揃いです。その辺りと比較してしまうので酷ではありますが、今回の東村先生には少し力の不足を感じざるを得なかったです。
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雪花の虎