2.0
完結まで全部読みました。
作品の全体を通したテーマである「男性恐怖症」。
揺るぎないたった1つの軸であるはずのこの設定が頻繁にブレるような気がします。
このテーマに対するリサーチ不足のような気もしますし、ストーリー自体がこの男性恐怖症という味付けに頼りすぎているような気もします。
過去に縛られ、過去を思い出すと卒倒したり食事も摂れなくなったりする主人公が男性の前で意見を堂々と主張したり、突然抱きついたりするようなシーンがありますが、それほどの病的な症状さえ持つ人が状況によりそこまで回復したりするものでしょうか。
トノさんが男性恐怖症を忘れさせるほどまでに特別であるなら、顔が好きであること以上に、主人公が精神的に回復していく様子をもっと丁寧に描くべきです。
トノさんはトノさんで、主人公が男性恐怖症と聞くやいなや「俺にはお前じゃなきゃダメだ」と唐突な心境の変化がありますが、それはなぜですか?
主人公がかわいそうになったから?
そのあたりも丁寧に描かれていないので、うまく2人に感情移入していくことができませんでした。
ブレがなければピュアなラブストーリーとして読めるのかもしれませんが、現状では「恋愛ストーリーが描きたいけどただの恋愛だと掴みが弱い」というところから間に合わせで「男性恐怖症」という要素を付けたのではないかと邪推してしまい、作家さんの作品に対するエネルギーを感じられませんでした。
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初恋ダブルエッジ