5.0
完結まで全部読みました。
自分を引き上げてくれるほどの輝かしい才能を持った主人公が羨ましいです。
絵もストーリー構成もとても凝っていて大好きな作家さんです。
前作の「明治緋色奇譚」「明治メランコリア」も読みましたが、その頃に比べてとても進化していて、さらにファンになってしまいました。
前作を読んでいたので、てっきりお相手は年上黒髪和服の天良と思って読んでいたのですが、良い意味で予想を裏切られ、さすがだと思ってしまいました。
「帰る場所」を求めた天良と、女性として小夜子を愛した浅海。
ヒロインの周辺にそれらしい男性が2人いる場合、だいたい「母(家や安心感や包容力)」を求める男か、「女性」としてヒロインを愛する男かで差が出る気がします。
私は「この世界の片隅に」などの戦争色の強い作品も好んで読みますが、戦争で大変だった頃の国内情勢もよく研究して描かれていると思いました。
当時の人々の生活や話し方、言葉遣いにもリアリティがあり、時代背景がしっかりと描写されていたので、ストーリーにすっと入っていくことができました。
盛り上がっていく戦争路線、プロパガンダに戸惑う人々の暮らし、弾圧、若い人たちの悔しさも作品から感じ取ることができ、素晴らしい作品だと思いました。
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昭和ファンファーレ