ハヤシくんが、自分がどんなに頑張っても反省できないのは、自分の妻と浮気相手の間に産まれた子供を、人ごとには思えなかったからじゃないかな。
あの子とハヤシくんて、同じ立場。
ハヤシくんは、いつも明るく笑っていて今もそうだけど、明るく笑っている裏で、中学生の頃に明かされた自分の出生を、誰よりも自分自身が「気持ち悪い」と感じていたんだと思う。
ハヤシくん自身が幸せだった場合の世界線についてシ村さんは呟いてるけど、ハヤシくんが幸せだった頃の記憶は、お母さんの遺書と、信じて結婚した妻の裏切りにより全てが潰されたので、ハヤシくんには幸せの概念がもうないんじゃないかな。
ずっとここで働き続けて、いつかお姉さんが来た時に思い出せるかもしれない。
お姉さんだけはいつも味方でいてくれた幸せを思い出すのかもしれない。
-
12
死役所
147話
第56条 おててつないで (2)