5.0
「真夏のおでん」
ネタバレ注意です。
3つのやさしさが印象的。
1つは、前田くん。
死ぬ恐怖心、逃げる選択よりも
「橋本くんに何かしてあげたい」
その一心だったのが伝わってきた。
敵襲に合ってる真っ只中、
おでんの材料を取りにいくという
無謀なことを成し遂げた。
仲間を思う気持ちの強さが感じられた。
2つは、橋本くん。
できたおでんはおでんと呼べず、不味かった。
それでも橋本くんは
「おいしいよ」
前田くんを気遣ってウソをついた。
自分が息を引き取る直前だというのに
そんなときまで
人の気持ちを思いやってウソをつくやさしさ。
そもそも橋本くんは
最初からやさしかった。
飯ごうに穴を開けてしまった
前田くんの分まで料理を作ったり、
手が震えて弾を準備できない前田くんに
自分の銃を渡したり…。
橋本くんのやさしさは何度も前田くんを救った。
3つは、飲食店を経営する夫婦。
真夏におでんを注文し、号泣する客。
そんなたった1人の客のために店を閉じ、
夫婦揃って話に耳をかたむける。
そして涙を流して聞いてくれた。
年老いた前田くんにたいする
店主のはからいがお見事。
形見である橋本くんの飯ごうを器にし、
おでんを入れてくれた。
想像の中でおでんを食べる
若かりし前田くんと橋本くん。
あのときのおでんが
本当は不味かったことを笑い話にする。
そしてニコニコとしながら
飯ごうのおでんをおいしい!と食べる2人。
悲しい話ではあるけど
登場人物たちのやさしさが
じーんとくる話でした。
一方でこわかったのが
わざと相手を油断させて誘い込む
敵兵側の戦術。
戦争ではこんな作戦もあるのだと知りました。
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戦争めし
013話
其の壱 真夏のおでん(3)