5.0
表紙の娘に起きた事(ネタバレ有)
社長の悪徳さよりもそれをこれ見よがしに言うばかりで謝意の気持ちがない夫人と社員の方が怖かったため、陰口が聞こえているのではないかというよりも棺桶の中身を眺める際の表情が「俺を助けるなんて馬鹿なことしたっていう証明がコレか」というものに取れました。
義憤にかられ前科者となった娘の周りにいたのは、保険に入らないという組織の頭としてはあるまじき男と当たり障りのない付き合いを選んだ同僚に罪を罪とも思わない女史という構図。それぞれの対比が、いい意味でやるせない気持ちになる事が出来るお話です。
あとこれは考え過ぎだとは思うのですが生前どころか死後ですらも後ろ向きだった涼子が、前向きに成仏の道を選ぶという描写。もしかすると知らぬが仏様という掛言葉になっている様に感じられて、この脱力感が妙な後味に拍車をかけているのかもしれません。
それでは
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