5.0
性別人種身分を超え…至高のフェミニズム
作品だと思います。
王・将軍もののサクセスストーリーはこれまでにも好きで読んできましたが、女王を主人公に、また人種や身分(家柄)を超えた「人間」をテーマにしたストーリーに本当に感動しました。誰もが人間である、と言うメッセージのこもった、これぞ最高のフェミニズム作品の一つだと思います。
素晴らしく聡明で才能ある人物に男女の能力の差異などないこと、一方、恋愛という男と女としての人間的な部分に現れる性差、そしてその二つの面での葛藤…など、今男性社会の壁を壊すべく闘う女性たちにとっても共感する部分が沢山あるのではないでしょうか。
また、古い時代がテーマだし当然男性中心社会の中での女性の葛藤が描かれてはいるのですが、日本の宮廷や明治から昭和の社会のように「女だから」、「女のくせに」とグダグダ嫌がらせやボロクソ言う人物が出てこないのも好感が持てます。最初は抵抗していても、その能力と才能、人物を前にしてきちんと認めている。
現実社会も、こうであって欲しい。
登場人物に、あらゆる人種、そしてアルビノを始めとする身体の特徴を持った人たちが描かれていて、それを「美しい」と表現する主人公を通したルッキズムへのアンチテーゼも、多様性への強いメッセージだと感じます。
亜姫のような優秀な女性がこれからも沢山現実に出てくるでしょう。
彼女が目指した、能力により誰でも王になれる社会を実現していきたい。
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女王の花