5.0
難しいテーマではありますが、
障がいを持った人を取り巻く様々な人間関係や日常をかなりリアルに描いてる作品だと思います。その中にもキラキラした恋や友情、ドロドロした感情のエッセンスも加わってて、とても読みごたえがありました。
医療福祉の現場で働いている私も、働き出す前は障がいは受け入れ、乗り越えるものだと考え、そうできるように支援するんだと考えていました。またリハビリも一歩一歩前進していくイメージでした。
しかしながら、実際の現場はそんなに単純な話ではなく、一進一退を繰り返し、自暴自棄になる人の姿も沢山見ました。なので、仕事もあり、友人もいて、想ってくれる女性がいる鮎川は幸せな方かもしれないですが、その幸せさえ、私たちがとやかく言えるものではないのでしょうね。
鮎川の「障がいがあってよかっただなんて思ったことない。ないに越したことない」って言葉。胸に刺さった。そりゃそうですよね。望んで行き着いた場所じゃないけど、それでも進んで行くしかない現実。諦めることにも慣れ、理不尽にも慣れ、苦労して辿り着くベストじゃないけどベターな場所。
障がいを理由に選べないことを減らすこと、障がいがあってもなくても努力が報われる社会であること、改めてそう願います。
- 70
パーフェクトワールド