5.0
辛くても読み進めて欲しい良作品!
イアンの何が良いかというと、
マデリンの前世では出会った時から戦争の亡霊に犯され疑心暗鬼になってしまった悲劇の伯爵だったのに、今世では家柄も商才もあるイケメンで一切の不自由もなく若さと自身に満ち溢れたスーパーハイスペックノッティンガム伯爵だったこと。
それが戦争によって健全な肉体と精神を失ってしまい、常に闇に囚われてしまいそうなギリギリの精神状態ながらも健康で美しいマデリンに好意を抱き、マデリンによって少しずつ前向きに変わっていくこと。
壊れてしまった自分には家柄とお金しか良い点が無いと自虐的になりながらも、大好きなマデリンの為にその家柄とお金を駆使してマデリンを救おうと奔走するところ。
戦前はマデリンに対して傲慢とも言えるほど自身に満ち溢れた若者だったのに、帰還後は自信のなさからかマデリンに対するアクションが控えめでためらいがちで、少しの進展にいちいち幸せを感じているのがとても良い。
そして肢体不自由になり精神まで蝕まれながらも、それでもなお無自覚に溢れ出るノッティンガム伯爵としての威厳と気品。
イアンの苦しみや悲しみが直截的な言葉ではなく表情や動作で表現されているから余計にイアンの心情を想像して感情移入してしまう。
もちろんマデリンも美しくて健気だけど、回帰後は苦しみながらもまあまあ直感的に生きているからまた死んでも後悔は無いのかなと……。やっぱり私はイアンに感情が持っていかれるし幸せになって欲しい。
どちらかというと、というか今のところ絶対的に興奮するような場面はないし、話の進み方も行きつ戻りつなので人によっては物足りなくなる方がいるかもしれません。正直私ももうちょっと二人がベタベタドロドロイチャイチャしてくれたら良かったと思ってる。でも、これで二人が結ばれた時の興奮と感動が何倍にもなるだろうと思うから我慢してその時を待ってます。
とにかくおすすめ!
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運命は時の彼方に