5.0
まずはサユリに感情移入がしやすい。
コレ大きなポイント。異世界にトリップした数多のヒロインはすぐに気を取り戻して、環境に順応してこれから仲間となる人たちとの交流をあっという間に深めていくけど、実際そんな簡単なものではないと思うのよね。自分の夢が叶うかもしれないところまで来ていて、家庭環境も悪くなかったし、わざわざ日本から召喚されてまで生き直す必要性がサユリにはなかった。だからもちろん戸惑うし、今日から家族のように思ってくれと言われたところで、召喚手違いでここへやってきたと思われるサユリをどこまでおいてくれるかもわからない。彼が引き取ってくれなければ、住まいもなかった訳だし。
だからこそ生きていくための術を得るために奮闘し自分の能力を糧に馴染もうとする姿に、彼の家族も惹かれたし、そんなサユリの姿に応援したい気持ちがこちら側にも生まれたのは良かったと思う。
あとは彼との関係性がこれからサユリに対して変化していくのかをゆっくりじっくり見守ることになるんだろうけど、サユリが癒しの力を持つ聖女であることがわかっていって、置かれた環境は間違いなく変化していくわけで。もうすでに色々な感情を抱えつつあるふたりが幸せな結末を迎えるといいな。
絵が綺麗で細やかに背景も描かれているし、心情もわかりやすいし、目のアップばかり描かれている、という手抜きがないのもいい。この作家さんの作品はストーリーもいいので、色々読みたくなります。
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巻き添えで異世界に喚び出されたので、世界観無視して和菓子作ります