5.0
日本史好きにはたまらない
在原業平と菅原道真。名前を見ただけでもワクワクする平安時代の有名人らが、コンビを組んで事件を解決します。
安心してください、史実の軛がしっかりかけられてて、素人の目に止まる齟齬はない作品です。
浅学な身にも、史実に明るい人ほど面白く読める作品だと思います。当時の最先端の書籍に娯楽、トラブル対応に貴族たちの役職、それら情報が乗る絵の説得力。歴史物の魅力に溢れていて、どこから見ても楽しいです。
監修者の小話がついているのも、作品世界をいい塩梅で補完してくれていて嬉しい。単行本を片手に資料を漁ってみたくなります。
色事に疎い若者の道真と、京きってのモテ男でいい大人の業平。
学者肌の菅原父子と、権謀術数に余念のない藤原一族。
明確な対比の構図が随所にあります。死後怨霊として名を馳せる道真に「鬼などいない」と言わせるなど、ちょっとした演出がぐっときます。侍女まで巻き込む本好きあるあるが番外編にあったりも。
中央の政治からやや引いた、客観性ある主人公たちの目線で、藤原良房らを描いているのも見どころの一つ。彼等がまさに天皇家の姻戚として力をつけていく過程を背景に、個性ある二人が躍動します。
なお、青年漫画なので、性描写も死体も出てきます。抵抗ない大人の方、ぜひ無料分だけでもお試しください。
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応天の門