2.0
設定倒れ感
どんな男をも虜にする美しきファム・ファタルとそれを追い求める男の狂気的な愛を描きたい、のは伝わってくる。
が、まずその設定に絵がついてきていないのが残念。
「森の妖精」と評されるのだから儚げで繊細で魅惑的で非現実的な傾国の美女かと思いきや、実際のヒロインは体格も良く目つきの悪い現実感漂うごく普通の美人にしか見えない。
初手で設定が破綻しているのがキツい。
ヒーローの言動も上に立つ人間としてあまりにもあり得ない。
無血開城で降伏した敵のトップを講和の宴の席で処分するような暴挙に出たら、王や他貴族総出で処断されるだろう。そもそも、王がいる1つの国の中で領主同士が戦をしている時点でおかしい。戦国時代か?
傍若無人で邪魔な者を問答無用で潰していく存在にしたいなら、中途半端な一貴族ではなく「王」にすべきだったと思う。
さらに細かいことを言うなら、最初にヒロインが籠城すると書いて寄こしたのも謎。城を代表して意見を寄こす立場の婢??長男の後ろ盾があったにしても城内での扱いはぞんざいだし、長男が生きているうちにあっさり開城しているし。命令系統どうなってるんだ。
ヒロインが至極簡単に逃げ出せるのも謎。とくに知恵を絞って脱出した描写もなく(布を結んで降りるという古典的な手は使っていたが)、動きづらいドレス姿で遠くまで逃れた説得力が皆無。せめて、その美貌を活かして密かに手助けを得たなどの説明があれば…
とにかく登場人物の言動が幼稚で話が破綻しすぎていて、読み進めるのが厳しい。
余談だが、擬音もかなり気になった。
ジャーンだのパカパカだのペチャクチャだの、場の雰囲気ぶち壊し。まあタイトルからしてそうなのだけれど。あちらのコミックあるある現象かもしれない。
- 10
タランタランタラン~鳴り響く音にのせて~