5.0
それぞれのシアワセノカタチ
偽装彼氏に偽装結婚…偽装から始まる物語は数あれど、絵に始まりキャラのタイプ、ストーリー設定からセリフまでトータルで気に入る作品には中々巡り逢えない。こちらの作品は絵の雰囲気に惹かれて読みました。
ヒロインもカレシも互いに『お家事情』を抱えてる訳だけれど、ヒロインも自立した大人。自分自身のことをよく解っていて性格と行動に矛盾がない。一人で考えこんで悲観に浸っても、カレシを含めた周りの同僚(医療従事者)が『なるようになる』的な思考で意外に楽観的。ヘンに狙ったセリフもなく、本当に普段身近で聞こえてくるようなありふれた会話も面白いセンスでクスッと笑え、最後までストレスなく読めました。キャラ一人一人が自立してるっていうのかな。
めぐみが「もう逃げたい…」と言った後、秋穂くんが「逃げましょう」と言う。
これは…最強の味方じゃないと出ない言葉。一緒に立ち向かうだけじゃなく一緒に逃げてくれる人の存在がより尊いことを突きつけられたシーンでした。
偽装から始まっても、同じ景色を見て同じ景色に感動する二人を見てるとどこか似ていて、最初から惹かれるものがあったのだろうと未来の景色まで想像出来る。
また、嫌われて途中で消えがちな立ち位置なのに最後は主役で締めた胡桃、のたまに見せる秋穂くんに対する冷たい態度や遥とのやりとりもよかった。くっつかないのもよかった、笑
1点だけ残念だったのは、絵が気に入って読み始めたもののどんどん絵のタッチが洗練されていって表紙の主人公が男に見えてしまうくらい線がシャープになりすぎた所。最終巻は紙版で購入したのですが、紙面がやや無機質に感じてしまった。最初の強弱ある線で描かれていた方が画面にメリハリがあり雰囲気も柔らかく好きでした。
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偽装カレシに愛されてしまいました