5.0
神話の謎を解き明かす面白さ
最終話まで全部読みました。
冒頭で主人公が歌う歌‥‥それが物語全体の重要な鍵となっていて、全てが回収されるのは本当のラスト3話目くらいです。
物語の初めの方は村人も陰険で皇帝も噂では殺戮を繰り返すとんだ人格で血生臭い要素満載なのですが、迎えに来た護衛の男達との出会いから少しずつ良い方向に回って行きます。
何か困難な事が起きた時に、巫女である母が教えておいた歌の意味を考え、疑問に思いながらも実行する。
そうして自分の血に人の怪我や病気を治す力がある事を発見し、神の罰に苦しむ皇帝を救い、深く愛されるようになるのです。
愛‥‥とはよく見聞きする最大のテーマだと思うのですが、この主人公二人の愛、自己犠牲も含めて半端なく凄いです。
特に印象に残るのは、国の科挙を表彰する祭典の場で国民の見守る中で皇帝に毒を盛られて、すぐに主人公の盃を叩き落とし、苦しみ死に至る皇帝を今度は主人公が自分の生命を犠牲にして彼を救うのです。
自分の腕の中で息絶えた彼女を抱いたまま、血だらけのまま茫然とする皇帝の悲しみが尋常でなく血の気が引く思いで読みました。
死んだ彼女の母が皇帝の夢に出てまで娘の為に動くのも不思議ですが巫女との事で違和感無く、娘は生き返る事が出来たばかりでなく二人は魂が結び付き、痛みや感覚も共有し、片方の死は相手も死ぬという不思議な一体感が生まれます。
面白かったのは彼女かお産をする時につわりの時から皇帝も気持ち悪さや吐き気を感じながらも顔に出さないように努力しているところでしょうか。
これで陣痛が来たらどうなるかなとちょっとワクワクして見てました。
ラストの方で主人公と皇帝が一緒に横たわりながら手を握り、最後の吐息を共有しながら世を去ります。
その時点ではまだあの歌の最後のフレーズがまだ残っているのですが、その後で全てが回収されるのです。
神話の世界からの壮大な謎解きの物語、お試しあれ!
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