5.0
浄化作用
アニメから知った者です。
私は漫画の絵の方が好きだなと感じます。線が細く、繊細で、モノクロなのに色が伝わる感じが、夏目友人帳の物語を体現しています。アニメも勿論好きです。
妖たちとの交流や、切ない別れ、同級生との青春を見ていると、本当に心が洗われるのです。
最近では28巻が大好きです。私はいっとう夏目と名取さんの関係性に惹かれるのです。友人であるが兄弟のような感じもする。助け、助けられ、すれ違いつつも、互いを大事にしている。一応保護者の立場だけど、夏目のことをめちゃくちゃに信頼しきっちゃってる名取さん、好きです。
私は名取さんのことがしみじみと噛み締めるように好きなのだが、「妖に苦労させられてきた過去の経験から、妖を疎ましく思う気持ち」と「妖たちを大切に想う夏目の姿勢を尊重したい気持ち」に挟まれている彼を分析すると、スルメのように味が出ます。
箱崎邸探索回の「そんな危ないもの、燃やしてしまえばいいのに…」という台詞。それまでは特段好きではなかった名取さんのことが、途端に大好きな人になってしまった。代わり身が遅い私が。
「そんな危ないもの」からは、妖を敵対視する気持ちと夏目を心配する気持ちが伝わってくる。「燃やしてしまえばいいのに…」からは妖への徹底した敵意を読み取れました。燃やしちゃうんだ…
この段階では、夏目を心配&大切≧妖への敵意>夏目の意志尊重、だと思うのです。友人が好きだし心配もするが、彼のスタンスを100%支持できない。やはり妖への敵意と冷酷さを拭い切れない…でもそれを悟られたくはない(夏目が気づいているかどうかは置いておいて)。なぜなら嫌われたり失望されてしまうかもしれないから…彼とは友人でいたいから……めちゃくちゃ人間らしいではありませんか!!
いつでもきらめいているいけ好かないただのイケメンではない!矛盾を抱え、不器用で、腹に一物抱えているが、根っこの部分は優しい人。柊たちへの対応からも、的場一門とは異なり人情(妖情?)があるし、脅威のある妖でなければそれなりに優しい。凄く好きです。
あと、行間を読みすぎているような気もしますが、妖力やらの才能で夏目に若干のコンプレックスを抱いてそうなのが可愛いと思います。的場さんには確実に劣等感を抱いているのかなとは思いますが、一つ下の近い歳の人にそう感じるのとはまた別の趣がありそうで想像の余地がありますね。
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夏目友人帳