牛の首2さんの投稿一覧

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作品レビュー
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1 - 10件目/全33件

  1. 評価:5.000 5.0

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    絶対電車で読んじゃいけない、愛しき日常

    他サイトでBL作品タグ検索してたら見つけた……とかいう出逢いに、何か運命のような「オラわくわくすっぞ」的予感を勝手に感じて一気読みしました。予感は間違ってなかった!ほいでこれ、BLじゃねえ笑!

    ただでさえ笑いの沸点が人より低い私には、一話目から試練でした。「来年から中止にした方がいい」で声あげて笑ったわ。自分語りで恐縮ですが、JKだった頃、男子柔道部の稽古見てた時、顧問の先生が「女子が見てるぞー!気合い入れろー!」って発破かけた途端部員の皆さんの動きがキレッキレになったの思い出しちゃって、笑いながらもほっこりしたり。上手く言えないんだけど、過ぎた時代への郷愁感とかじゃなくて、今ぼーっと生きてる日常の風景が愛しくなるんよね和山先生の作品て。
    しかし、どう上手くレビューしたらいいか分からない作品てあるけど、これはその筆頭かもしれない。同じ和山先生の「女の園の星」もだけど、「高校生のゆるい日常」としか纏めようがないのに、明らかに面白さが天元突破・オーバーキルしている腹筋破壊兵器を、どう表現したらいいのか見当もつかんわ……。
    ただ私に言える事は、読み終わる頃には近所に立て掛けてある看板までちょっと可愛く感じるようになる事と、「絶対に電車で読んではいけない」という事だけです……笑

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  2. 評価:5.000 5.0

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    これぞセンス・オブ・ワンダー

    某SNSのマンガコミュニティで度々話題になってるので読んでみました。
    いやこれ何?バチクソ面白いんですけど!巷の評判に偽りなしでした。付けられるなら星10個ぐらい付けたい。縦コミは大体金太郎飴みたいなコピペ量産品ばっかやろ……と思ってたんだけど、こんなエッジの効いた、しかもマンガとして面白い作劇があり得たなんてビックリ!目からウロコ取れた気分です。
    詳しく書くとネタバレなっちゃうから書けないのがもどかしいんですが、縦スクロール形式をこんなにユニークかつフリーダムに使いこなし、唯一無二の世界観を表現しきってる作家さんは初めて見ました。これこそまさしくセンス・オブ・ワンダー。作者の田中先生に、惜しみない拍手を捧げたいです。
    唯一の難点は、縦読みに極めて特化してるせいで、紙の単行本が恐らく永遠に出ない事ですかね……。

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  3. 評価:5.000 5.0

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    至高を極めた、和製「薔薇の名前」

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    京極夏彦×志水アキコンビによる京極シリーズのコミカライズ版において、原作・マンガ双方共に名作の呼び声高い「魍魎の匣」が東の横綱なら、この志水版「鉄鼠の檻」が西の横綱ではないかなと思います。まさに貫禄・圧巻・空前にして絶後の見事なコミカライズ作品でした。
    「拙僧が殺めたのだ」という印象的なフレーズで幕を開ける、箱根山での連続僧侶サツ人事件を圧巻のボリュームで描ききったこの作品に、かつてある書評家が「書物に纏わるミステリーで、これほどの大作が日本から出るとは。さながら和製「薔薇の名前」だ」と賛辞を送っていた事を覚えています。修道院と禅寺、幻の書物はアリストテレスと○○禅の経典という違いこそありますが、構成としては確かに似通ったところがあります。どちらも甲乙つけ難い名作であるのも含めて。
    そして二作とも難解な小説を原作としながら、究極のビジュアル化に恵まれた作品でもあります。「薔薇の名前」はJ・J・アノー監督ショーン・コネリー主演による実写映画化。そして「鉄鼠の檻」は、志水アキ氏による圧巻のコミカライズ。映画版薔薇の名前の「アフリカの果て」での結末は凄まじかったが、個人的には物語のクライマックスにおいて、京極堂と○○の対峙と論争~一大カタストロフをペン一本で見事に描ききってしまった、この志水版「鉄鼠」に軍配を挙げたい。
    大体こんな禅宗の蘊蓄が広辞苑並みの厚さの本にもりもり、登場人物坊主ばかり、舞台は日本版「アフリカの果て」みたいな幻の大伽藍……とかいう癖ありすぎ超大作を、こんなハイクオリティなマンガに出来る志水先生が頭おかしい(※褒めてます)んですよね。禅の根幹である不立文字を、万の言葉を費やして解体しようとした原作も大概ですが、そこからコミカライズに合わない要素だけ削ぎ落とし、これ以上なく美しく仕上げてしまったコミカライズ版もこれまた並の仕事じゃない。「薔薇の名前」で老賢者・バスガヴィルのウィリアムを演じきったショーン・コネリーにも言える事ですが、志水先生の原作に対する深い理解と愛情なくして、こんな素晴らしいコミカライズ作品は出来まいと思います。
    この「鉄鼠」のラスト、とある人物の口をつく「拙僧が殺めたのだ」に、万感の想いを抱かずに居れる読者は恐らく居ないんじゃないだろうか。未読の方は一読あるのみ!です。

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  4. 評価:5.000 5.0

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    約束された現代の恐怖。一級のJホラー

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    他サイトで試し読んで、紙の単行本を揃えた程面白かった作品です。
    出版社から依頼を受けたマンガ家(作画の景山氏)が、一般人から収集した恐怖体験談を、実話怪談コミックとして語っていくオムニバス・ホラー集です。原作は、SCP財団で「しんに」「がきじろ」等Jホラー系オブジェクトの執筆を手掛けている梨さん。
    実話怪談といっても、霊感がどうした、悪霊に祟られたといった、ありふれた怪談はひとつもありません。そこで語られるのは、ふと目にしたSNSの異常な画像や、更新の途絶えたブログに突然アップされた不気味な投稿、ライブ配信者の奇妙な体験……といった、現代人にとって身近なものから垣間見える予測不能の闇と薄気味悪さです。
    そしてこれらの体験談の殆どは、「怪異の真相」が語られないまま終わります。正体が何か分からないという事は、霊能力のような「明確な対処方法」が存在しないという事。そして、狂言回しであるマンガ家(景山氏)に自らの体験を語ったところで、体験者は現在起きている怪異をどうにか出来る訳ではないのです。
    原作者の梨さんは、こういう「正体の分からない怪異」と、少し前に流行ったネット文化やSNSなどを怪談のギミックとして絡めるのが実に上手いです。梨さんの著書「かわいそ(笑)」でも、ひと昔前の匿名掲示板や、投稿サイトが登場する前の二次創作コミュニティ上で起きた奇妙な出来事について触れる部分があるのですが、これが実にありそうなシチュエーションで怖い。2000年以降のネット文化に親しんできた人なら、掲示板の奇妙な書き込みやスパムアカウントに対しては、ブロックを選ぶと思います。そしてその後の詳しい経緯を知る事はほぼありません。そういう結局意味解らん怪異を、ネットという身近なツールを絡めて語る事で、リアリティがひしひし迫ってくるんですよね。
    そしてこの作品では、あくまで聞き手である筈のマンガ家もまた、様々な怪談を聞いて回る内にちょっとおかしな事になっていきます。詳しいネタバレは避けますが、これが心底薄気味悪い。景山さんの日常系女性漫画っぽいさっぱりした絵柄も、かえって嫌な湿り気を生むのに大成功しています。
    ジャンプスケアもグロもない、分かりやすい幽霊も出てこない。でも間違いなく恐ろしい。かつて洒落怖が好きだった人なら絶対ハマる、一級のホラーコミックだと思います。

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  5. 評価:5.000 5.0

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    まさかの続編!

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    まさか令和になって「静かなるドン」の続編が出るなんて……!アプリ配信で再ヒットしたのは知ってたけど、まさかそっから新作出るとは思ってませんでした。今はこういうリバイバルヒットのパターンもあり得るんだな~。
    無印版のラストがほんのりビターエンドだったので、あれから後の静也達の物語が読めるのはシンプルに嬉しい!秋野さんとの再会はどんな風になるんだろうと、今から楽しみにしています。……ちゃんと秋野さんと再会するよね……?
    それはさておき、がっつり現代舞台になってても、紛れもなく「静かなるドン」テイストそのままなのが素晴らしい。読みやすく、かつ良い意味で先を推測出来ないストーリーテリングは、令和風にブラッシュアップされても全く色褪せていません。無印版で、893嫌いの秋野さんに正体隠して助けに入る……のパターンでウン十巻引っ張り続けられただけあって、読ませる描写は堂に入ってるどころじゃないです。
    かつての人気マンガの、年月を置いてから始まった続編は何かと微妙なものが多い印象がありますが、この作品に関してはその心配は要らないかと思います!

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  6. 評価:5.000 5.0

    バキなのにほっこり

    サブタイ何やねんこれwと思って読み始めたら、めっちゃ面白くて大好きになりました。
    バキ本編読んだの結構前なので、シコルスキー=人が使用中の電話ボックスに入ってきて戦う変な人、みたいな感じで覚えてたんだけど、この作品だと更に変な人だったんで笑っちゃった!もうずっとガイアとあのアパートで暮らしてて欲しい笑
    花山薫のも烈海王異世界転生も、スピンオフでも大体バトルものだけど(あれはあれで面白いからよし)、こういう笑えてほっこりするほのぼの路線もいいなあ。これ読んだ後、もっかい本編読み直したらガイアもシコルスキーも印象変わりそう……笑

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  7. 評価:5.000 5.0

    服飾史に咲く「ベルサイユのばら」

    かのベルばらにもちょこっと登場した、マリーアントワネットお抱え服飾デザイナー、ベルタン嬢の一代記。
    作画が可愛く、ドレスのデザインがうっとりするほど素敵なだけじゃない、当時の繊維の相場やドレスコード、細かいマナーの類いまでしっかり調べてストーリーに活かされてるのが素晴らしい。当時の地位の低かったお針子の立場からどんな風にベルタンが立身出世していったのか、お仕事ものとしても歴史ものとしても、凄く説得力があります。
    女性が一人で身を立てるのが困難だった時代、生涯独身の身で王妃のドレスデザイナーにまで登り詰めた……というだけでただ者じゃない事が分かるベルタン嬢が、負けん気も努力家な面も、そして等身大の女性としても魅力的に描かれてるのが良い。ベルタン以外にも、後のデュバリー夫人となるお針子時代のジャンヌ・ベキュー、服飾店の同僚やマダム、シャルトル公の婚約者パンティエーブル嬢など、登場する女性達にそれぞれの違った魅力とドラマがあるのもいい。一話目のララお嬢様みたいな嫌ーな女も居るけど!何をやっても「女」の一言で一纏めにされてきた女性達に向けられる(今でも居ますけどね、すぐ「これだから女は」とか言う人)、作者さんの温かな視点を感じます。
    みやのはる先生の「ラ・マキユーズ」にも登場した、髪結い師レオナールとの関係も気になるところ。史実ではベルタン嬢は独身だったそうだし、今のところ恋愛には到ってない感じだけど、この二人はどうなっていくのかな。史実とは違って恋愛展開になったら、当時のヴィダルサスーンとシャネルがカップルみたいな感じだよねこれ(笑)
    冒頭のコンシェルジュリー牢獄のアントワネットに、命がけでスカーフを届ける場面にどう繋がっていくのか……楽しみに追いかけていきたいです。

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  8. 評価:5.000 5.0

    心温まるオアシスのような

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    以前からちょこちょこTwitter連載読んでて、大好きな作品です。
    定番のトラック転生から悪役令嬢になったのが、子持ちのおじさん(しかも紳士)というのが最高に良い。定番の知識チート神様チートじゃなく、おじさんの長年の社会人経験と人柄の良さで難局(?)を切り抜けちゃうのが素敵。人の名前咄嗟に思い出せなくて、何とか知恵を絞って名前思い出そうとするの中年あるある笑
    中身はおじさんだけど、ハーレム狙いとかじゃないのも好きなところ。頑張ってるヒロインちゃんについつい親目線になっちゃうとことか、いかにも良き父って感じで心温まります。そりゃこんな実の娘とも仲良しな心優しいお父さんがinしたら、悪役令嬢になるのは土台無理ですよね。てかもう指先にまで神経行き渡った、社会人マナー完璧なただのハイスペック令嬢ですやん……笑
    絵柄もほんわか、話もほんわかしてて、老若男女問わず安心して読めるのがホント好き。エキサイティングで殺伐とした物語も嫌いじゃないけど、たまにはこんな小春日和のようなお話にのんびり癒されるのも悪くないよね。

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  9. 評価:5.000 5.0

    精緻でダイナミックな史劇の佳作

    正直何でレビュー少ないのか意味が分からんぐらいの良作。時は14世紀、英仏百年戦争初期(ジャンヌ・ダルクが登場するまさに100年ほど前)、フランスの戦場を生きる傭兵隊長ジョン・ホークウッドを描く戦史劇です。
    当時のヨーロッパの戦争は、互いに身分の高い捕虜を取っては身代金を支払い解放する、いわば上つ方の出来レースのようなもの。とはいえしっかり戦闘行為はある訳で、そこを担ったのが小規模ながらも私兵一軍を率いる傭兵隊長達。英仏百年戦争を描いたマンガは幾つかあるけど、この戦争の話で傭兵隊長を主人公にした作品はこれが初めてだったのでめっちゃ新鮮でした。
    この作品の主人公ホークウッド隊長は、身内で小競り合いを続ける小領主に雇われた事で、次第に戦火を拡大する英仏百年戦争に巻き込まれていくのですが、このホークウッド隊長と彼の率いる傭兵団の面々が、教科書では「領地を接する領主同士の小競り合い」と一行で済まされる小さな戦いの中で、豊富な経験と知略を生かし、最大限の利益を獲得するべく奮戦する姿は痛快の一言です。戦争のグランドデザインだけ考えがちな騎士の面々と違って、「目前の戦いにどうやって勝つか」「勝ってどのように利益が得られるか」を優先する彼らは、敵前逃亡も奇襲もお手のもの。現代人にも理解しやすい合理性とプロ精神を持ってるんだよね。
    また、膨大な軍資金をどうやって賄うか、賞罰をどのようにするか、といった中世の戦争の細かい裏側を、全く飽きさせずテンポよく描いているところも素晴らしい。「ベルセルク」や「ヴィンランド・サガ」でも傭兵の裏側を興味深く、かつ詳しく描いていましたが、この作品での傭兵団の描写は前述二作品にも決して劣りません。絵が上手く、背景描写のひとつも疎かにしない作画によって、鉄と血と泥の匂いさえ感じられるよう。
    キャラクター的には、やはりホークウッド隊長がカッコいい。仕事に手を抜かない、渋い大人の男の魅力が溢れてるんだよね。話が進むと、英国のブラックプリンスやらといった歴史上の将軍達とも刃を交える事になりますが(敵の面々がこれまた濃いんだ……)、史実では「歩兵の長弓が騎士の時代を終わらせた」と伝えられるこの中世の大戦禍を、ホークウッドがどう戦い抜いたか目が離せなくなると思います。
    未読の方は、まずはお試しを覗いてみて!冒頭の合戦シーンだけでも、面白さが一目瞭然だから!

    • 1
  10. 評価:5.000 5.0

    永遠のオール・タイム・ベスト

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    少女マンガ史上どころか、紛れもなくマンガ史上に残る大・大・大傑作。米ソ冷戦末期のアメリカを舞台にしたクライム・アクション……と一口に説明する事さえ躊躇われる、まさに吉田秋生という天才にして鬼才が生み出した、マンガ界のオーパーツのような作品だと思う。この作品にハマったお陰で、サリンジャーとヘミングウェイ読み出した人は少なくない筈!笑
    アニメ化前にも少し論争になってたようだけど、アッシュと英二の関係は、メタ的にはブロマンスかBLかは気になるところでも、本人達にはどっちでも良かったんじゃないかなと思う。
    実を言えば、初めてこの作品を読んだ少女時代、私は英二があんまり好きではありませんでした。こんなモブみたいな男の子の、一体どこにアッシュは惹かれたんだとさえ思ってたし。
    だけどそれなりに年食った今、何の気負いもてらいもなくアッシュを受け入れ、何があっても裏切らず真っ直ぐ見てくれた英二は、いつ崩壊してもおかしくなかったアッシュにとっては、どんなに得難い友だったろうと思うようになったんよね。作中では「普通の子だから」と言われていた英二だけど、人って年を取れば取るほど気負うし遠慮するし疑うようになってくものだから、10代の英二の「普通」とは、一足早く否応なしに成熟し、老いていかざるを得なかったアッシュにとって、氷河期に差し込んだ太陽の光のようなインパクトがあったんだろうな。何の理由もなく側に在ってくれる日だまりって、大人になればなるほどありがたいし愛しいもんなのよ……
    アッシュの死によって英二の心の半分もまた死んだのだろうけど、最終回の後日談「光の庭」のクライマックス、その「英二の死の結末」が語られたのがこの作品のあらゆるエピソードの白眉だと思う。ずっと封印していたアッシュの写真を映写機で写しながら、少し歳をとった英二が静かに涙を流すシーン。あの場面で、英二の心を道連れに逝ってしまったアッシュは、英二にこの先生きていくだけの魂を返してくれたんだと思ってます。私はこの話で、アッシュとセットではない、英二という一人のキャラクターが凄く好きになりましたね。
    初めて読んだ時、最終回は何とか泣かずに読めたけど、「光の庭」はもうボロッボロでした。正直今でも涙なくしては読めんわ……。
    永遠のオール・タイム・ベストです。

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全ての内容:★★★★★ 1 - 10件目/全33件

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