トリオマンテトリオスターさんの投稿一覧

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1 - 9件目/全9件
  1. 評価:5.000 5.0

    ロマンと史実とフィクション、漫画の醍醐味

    少年/青年漫画で、これだけ明治の戦争帰りの人達と北海道アイヌを活き活きと人間らしく描いた作品はないのではと思う傑作だと思う。

    自分が好むのはリアリティとロマン(フィクション)の融合。残酷なシーンも多く、シンデレラストーリーやファンタジーがお好みの方にはお勧めしない。

    あらすじ。
    日露戦争後、親友の頼みのために一攫千金を狙って北海道で砂金を探していた杉元の前に現れたアイヌの少女アシリパ。砂金どころではない金塊の秘密を持つことが共通にあることがわかったことかは事態が動く。
    アシリパが云う北海道アイヌの生活はとても興味深いし、文化的にも面白いし、グルメも豊富。(食べられるものなら食べてみたい←ただの興味)

    道中に出会う人物像も一筋縄ではいかないが、ときにファンシーな描き方に笑いとほっこり感をもらう。腹が捩れるくらい笑う癒しが最高。

    ただ時代が時代のため、ときどき恐ろしいまでの激動を見せつけられて戦慄する。裏切り者は誰か、疑心暗鬼にさせる。

    戊辰戦争や蝦夷共和国の残り香にロマンを感じる一方で、「たられば」に大きく心を動かされるし期待に心が踊るし、そこをうまく着地させるのも素晴らしい。日本史は苦手だったので、何度も検索して歴史を辿った。それだけでも多くの学びと気づきがあり、史実の人間が描かれていることに興味がつきない。

    かと言って、好き嫌いはあれど、敵ですら彼らにも不穏な日本の空気の中で生き抜いてきた、執着してきた背景があり、おそらく感情移入するのは読者それぞれだろうと思う。

    途中で息をするのが難しいくらい圧倒されて苦しかった。

    ついでに全く関係ない、個人的な話。
    亡くなった祖父は、第二次世界大戦でシベリア抑留で捕虜になった。ついぞ話してくれなかったが。
    話してくれなかった分、この作品の中に垣間見るものがあったのか定かではではないが、想いを馳せることができたことにも感謝。

    リアタイで読みたかったな。

    • 0
  2. 評価:5.000 5.0

    おぞましいリアリティ

    とある山奥の村に派遣されたのは、前任の駐在警察官が噂とともに行方不明になった地区で、都会での独断的・暴力的な捜査により左遷された阿川警察官。

    噂とは「村人が人を喰っている」という信じがたいもので、前任の警察官は村八分になり話に囚われて狂ったと謂れていた。

    阿川が起こした事件は背景的に2024年時点でありえるだろうし、スマホもGPSもあるし、小さなコミュニティで村中に家の様子がある程度知れ渡るのも(地方にある自分の実家や親類からの伝聞や、過疎地の旅先で自分の行動を近辺の方に知られていたりするので実感として)不思議ではない。だからこそ、一見平和な村に横たわる不穏な空気にリアリティと不気味さを感じる。

    個人的に自分が海外のクライム小説が好みということ、作画き人体構造と動きの違和感がないこともスムーズに作品を読み進めることができた。
    画風や残酷なシーンの描写は万人受けする作品ではないと思うが、サスペンスとミステリーと、なにより迫る激情が描かれて引き込まれる。

    主人公の阿川はもちろんのこと、敵対する後藤家にも内情と個々の考えがあり、ストーリーは何度も押し寄せる期待感と絶望感との繰り返しに正直なところ読み進めるのが気疲れする。

    でも気になった方はぜひ最後まで読んで欲しい。救いがあり、少し安らかな気持ちになれる。

    • 0
  3. 評価:3.000 3.0

    少年漫画

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    異世界やり直しもの、妹のため頑張る兄が生き戻り前の記憶を活かして、幼い少年ながら上位騎士を目指し人生やり直すお話。
    セリフの文字が大きいので、読むのは比較的楽かもと思いました。異世界転生モノ初心者に優しいと思います。

    クエストで8話まで読みましたが、魔物の姿がおどろおどろしくなく、戦闘シーンもあまり残虐に感じず、異世界ありがちの巨乳半裸お姉さんもいないので、青年漫画というよりは少年漫画でもよいんじゃないかなと感じました。

    前世で修行して身につけた力は現世では知識だけで、筋肉や身長、身のこなしや装備類が合う身体機能、防具装備はある程度鍛錬が必要なんじゃ…というチート性も少年向けでいいのではないかと。ご都合主義と世界観の説明不足感がままあるので、異世界転生の戦闘モノ系に読み慣れていると、突っ込み要素をちょいちょい感じます。

    ストーリー性はよいと思いますが、個人的な好みとして、人体構造の無理さやバランスの悪さなどのデッサン力がの低さと、魔物の姿形のチープ感とが気になりすぎて(表紙はよいのに残念)、8話で読み終わりになりそうです。

    • 0
  4. 評価:4.000 4.0

    少年マンガとして読んでいただきたい

    ギャング系少年マンガとして、最高傑作の一つだと思います。少女漫画誌に掲載されたのはなんらかの啓示なのか。

    舞台は1980年代のUSでベトナム戦争の影を色濃く残すNYをはじめに、人種ごった煮のストリートギャング/キッズをまとめあげる17歳の不良少年と、アイデンティティを取り戻すため日本から渡米した19歳の純粋な青年との友情を育みながら、謎の薬物をめぐり巨大マフィアと向かうストーリー。
    ロマンとリアリティを感じます。

    連載は1985年からだそうなので約30年経った2024年に読むと違和感があることは仕方ないと思いますが、ベトナム戦争終盤の泥沼から帰還したUSの末端兵や横行していた薬物など、自分も小説から得た状況描写とおよそ合致します。

    むしろ少女雑誌に掲載されていたのが驚きで画期的だったのでは。少女マンガに不可欠のヒロイン不在でキラキラ感ありません。
    むしろ少年漫画か青年漫画好きな方にもおすすめしたいです。

    全巻セット購入してしまいました。

    • 0
  5. 評価:4.000 4.0

    罪を妖怪視する独特性

    罪人が妖怪に見えるというユニークさが興味深い作品です。
    京極夏彦作品を思い起こさせるところもありますが、令和の現代性を踏まえての展開にも面白みを感じました。描写はときに残酷ですが、人物の生い立ちエピソードが挟まれ一人一人の人間味も増し、現代社会のありようとも噛み合って、切なさを覚えることもあります。
    伏線回収が気になって本購入しました。

    • 0
  6. 評価:4.000 4.0

    サクサク読みきれました

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    養父母の家庭で金目当ての結婚を強いられるヒロインと、呪いにかけられた皇子との逆転劇です。一話毎に起承転(結)があり、次の話に期待感が持てます。
    多少のご都合主義があっても、28話完結とコンパクトにまとめられていて飽きずに読了できました。

    作画家さんの癖かもしれませんが、男性と同じくらい女性の顔と身体とのバランスがよいと、もっとドレス姿が映えるかなと感じました。ただ、主な登場人物が多過ぎずきちんと描き分けられているので、忘れっぽい自分にはありがたかったです。

    • 1
  7. 評価:1.000 1.0

    ディテールが

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    ミッションクリアのために読み始め、13話まで読んだのですが、毎話のように理解に苦しむディテールがあり、どうにも話が頭に入ってきませんでした。

    重箱の隅をつつくような心が狭い人間ですが、小さな綻びが重なると本来部分も薄っぺらい印象になってしまうのは作品がもったいないと思います。

    1話目から登場する店はバーでもカフェバーだとしてもありえないメニューと雰囲気だったり、フリーランスで20代・常時アシスタントがいないエディトリアル/グラフィックデザイナーが複数の大手雑誌の表紙を制作している無謀な設定だったり、都内近郊のドイツビールのイベントはフードが微妙でロックバンドが出る不自然さがあったり、後輩に頼んだ仕事のミスの指摘を言い淀むのをトラウマのせいにし自分の責任問題を履き違えて会社の損失を考えられない社会人として疑問に感じたり、規模的に社用携帯を貸与されていそうなのに外注の人に個人携帯で個人的な相談をするのは契約上問題にならないか追加料金が発生するか気にせず頼める神経を疑ってしまったり…

    細かくて自分でもうんざりして自省心にかられるのですが、作者さんや編集の方々が作品に対してもう少し気を配っていただけるとありがたいです。

    • 2
  8. 評価:4.000 4.0

    キュンを自覚したことない人に読んでほしい

    無料期間で読ませていただき、性別問わず(自分自身含め)特にキュンに遠い方に読んでいただきたいと思いました。

    自分が少年漫画、青年漫画を主に読んでいて、高校時代にレンアイという文字なく大人になった人間で、これがキュンか、と感じさせてくれる作品です。(語彙の古さはご勘弁ください。)

    登場する少女も少年も素直で、迷いがありながら捻くれることなく、人生の不幸があって悔やみや妬みがあっても卑屈になりすぎず、前を向いていく姿がとても愛おしく感じます。
    この世代のキラキラ感は時代を問わないのだと思いました。

    こういうアオハル時代を過ごせなかったのはかつての自分の所業ですし、いまや中身おっさんですが、だからこそ読むと若返りの薬のごとく感じます。

    素敵な作品に出会えて感謝です。

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  9. 評価:4.000 4.0

    世界観が破綻なく良作

    転生ものの一つで、現代ではなくその世界で悪妻と謂れたまま死に、同じ世界の18歳のある日に生き戻った貴族女性の話。

    自分の読み方として、転生ものは現代的知識や過去の記憶で生き抜くチートの有無を問わず、その世界の伝統やしきたり、宗教観、人々の営みや常識などが統一されていないと気が散って読み進められないタイプの人間です。絵も人体構造に無理な造作がなく、時々挟まれる解説やエピソードにも理解を助けられました。

    主人公含めて登場人物の一人ひとりに背景があり人間らしさも魅力ですが、ある一定以上読まないとわかりにくいかもしれません。物語初期の主人公の行動は横暴に見えますが、精神的な幼さと回帰したからこその将来への不安、頼る相手が誰もいない孤独感を考えると腑に落ちます。(2ヶ所だけ気になる点がありましたが、本筋に影響のない些細なものです。)

    一話一話に進展が見られ、中弛みは感じませんでした。伏線の回収も見事だと思います。

    低評価の方もおられますが、ある程度読み進めてからご判断いただくと感じ方も変わるのではないかと思います。

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