5.0
人間の成れの果て。
何年も前に長期入院中の祖母を見舞った際のことを思い出した。
小柄な身体をくったりとベッドに張り付けている祖母、と思しき塊。耳を澄ましてやっと聞こえるか聞こえないかの呼吸音。祖母の隣に並ぶ似たり寄ったりの塊の列。
溌剌とした祖母しか知らない私は絶句。
傍の母がその私を見て言った。
「これが人間の成れの果てだよ」と。
いやいや、もっと先の成れの果てがここにあったじゃないか!
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不浄を拭うひと