高校生になって今では大きく成長した弓弦。
でも母親がなくなってからは、小さな体でひとりぼっちで自分の背より高い墓を掃除して、夜には思い出ばかりある空き家になった家の前でひとり寂しく眠る。
それを毎年繰り返し、今日に至る。
どんな思いで長い時間過ごしたんだろう?
何を思っていたんだろう?
想像しただけで、胸が苦しくなる。
花には目の前の弓弦が、小さくて心細そうなあの昔の日の弓弦に見えたんだろうな。
もう一人じゃないよって、守ってあげるよ、そばにいるからって思ったんだろうな。
好きというよりも、母のようなそんな気持ちだったのかもしれない。
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僕に花のメランコリー
032話
第19話