5.0
ヒロインの心情に奥深い物を感じる作品
大学生のヒロインが大学助教授と不倫し、ひょんな事からその妻と中学生の息子と知り合い
最後は不倫がバレて、夫婦は別居し、ヒロインはボストンに留学し、ヒロインを好きになった息子は彼女を追う。
大まかなあらすじだけ見ると、有りそうで無いような話のてんこ盛りで、いかにも漫画だな〜と思わせる内容ですが、
私は数ある一条ゆかり先生の作品の中で、この話が大好きです。
湖で溺れた自分を助ける為に、結婚したい程大好きだった父親を亡くした沙織のやるせない気持ち。
夫を亡くして、僅か2年で再婚した母親に言いたい事があるけど、未亡人になった原因である
自分には言う資格なんてないから、表面的に新しい家族(父と妹)とはいい家族の振りをする。
そんな沙織の複雑な心境をわかってくれたのは亡き父の弟である叔父さん。
その人の存在は彼女の心を支えてくれていたけど、その人も飛行機事故で帰らぬ人に。
叔父の遺産のマンションに住み、亡き父と顔がそっくりな助教授と不倫して
物欲は満たされているけど、心は満たされない毎日。
そんな中、助教授の妻梗子とその息子ひろみとは不倫を知らない状況で知り合い
2人共、沙織の事を凄く好きになってしまう。
不倫の事実を知った時は流石に傷付いたけど、最終的には沙織の事を嫌いになれず
梗子はイギリスに趣味の勉強に行き、ひろみなんて苦手な英語の勉強してボストンの高校生になるし。
留学先で沙織が「電池切れしそう…どうやって充電しよう…」と思っていたら
ひろみが下宿先に来ていて、最終ページに「すごい…充電してる…」って。
この時の顔がこの作品の沙織の唯一の笑顔なんですが、やっと心が満たされたんですね。
不倫は許される事ではないけど、沙織だけでなくみんなこれをきっかけに
新しい生き方にチャレンジする結末は、出来過ぎ感はあるけど、漫画なのでいいかな〜ですね!
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うそつきな唇