5.0
この作品に良い機会をもらいました。
偶然タイトルと表紙絵を見て気になっていて思いきって読んでみました。派手さもインパクトもありませんが、冬の夜深々と降る雪のように心に積もって響いてくる、そんな作品です。
訪れる人々は後悔、未練、怒り、満足…様々な感情を持っていて、中には亡くなったことにやっと気づいて困惑する人も。
取り上げられるエピソードはどれも身の回りで起こったりニュースなどで耳にしそうなものばかり。
思い当たるものなどは感情移入して泣きそうになります。
また、本人の知り得ないこと―本人を周りの人達がどう思っていたか、彼らが本人の死後どう行動したかを読者は知ることができます。それは心温まるものもあれば残酷なものもあり、これが現実だと分かりつつもため息が出てしまいます。
人の数だけ人生があって人の数だけ真実があるんだなと思います。
死役所での49日以内待機とは、死者が自身の人生を振り返って自分なりの心の整理をする場所と時間なんでしょう。
そして死けい囚だけがなれる職員は、罪滅ぼしとしてその手助けをする役目と同時に自らの人生の振り返りと整理をする機会も与えられているのかなと思います。
私自身は死役所でどんな申請書を書くことになるのかなと想像するといろいろ考えてしまいます。良かったと思える振り返りができるように一日一日を大切に過ごして行きたいなと思います。良い機会をもらえてこの作品を読んで本当に良かったです。
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死役所