4.0
怖い話ですが
人は、死んだ後どこへ行くのか?
程度の差こそあれ、誰もが一度は考えた
ことがあるんじゃないでしょうか?
日本的な死生観では、地獄と極楽があって、
生前の行いによって行く先が分かれるという
のかな?
(単純に言えば。)
この「死役所」は、それを現代的にした
「この世とあの世の境目」という位置に
あたるというか・・・。
ただ昔ながらのそれと違うのは、ここが
「裁きの場」ではないこと。
死者は、死因によって担当の課に振り分けられ、
事務的に行き先の手続きが進められます。
そのあたり、実際の役所の処理とそっくりで、
ちょっと笑えますが。
でも、その事務職に就いている人?たちも
実は死者で、みなそれぞれワケありなのですね~。
そして、胸にはフツーの名前のネームプレートを
着けているのだけど、すべての名に「シ(=死?)」の音が
入っていて、そこだけカタカナなのが考えて
みると不気味。
特に主人公(狂言回し?)の男性職員「シ村」さんは、
いつも笑顔が貼りついた顔で、それが逆に無表情より
怖い。
あらゆる性格のあらゆる死因の死者たちが目の前に
立ち、様々な感情を表しますが、常に冷静に礼儀正しく、
(いんぎん無礼とも見えますが)淡々とこなしていきます。
でも、彼にも複雑な過去があるようで、ごくごく稀に
それが表情に現れる時があり、それがまた興味を
そそられます。
絵柄は地味だし、テーマがテーマだけに、絵もストーリーも
読んで心地良いというものではありませんが、
なぜか読み続けてしまいます。
人により好みが分かれる作品だと思いますが、
まずは読んでみて判断したらよいかと・・・。
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死役所