5.0
夢中で読みました
レイラ、妹のローゼ、両親、婚約者の殿下、魔術師のリーンハルト、その妹や仲間たち。それぞれの視点で物語が描かれていて、内容の濃いおもしろいお話で色々考えさせられました。
仲の悪い妹、愛情をくれなかった両親、思い込みの激しい歪んだ愛情をもつ殿下とは話し合うことで和解して、めでたしめでたしとは決してならない。それぞれの考えや想いがあり決して譲らない。小説を読むようでした。
特に妹は完璧にみえる姉へのコンプレックスが強く、要領よくして両親にどれだけ愛されても満たされない。姉の人間味のあるところ、弱いところがみたい、(多分)人として分かり合いたかったのではないかと思いました。妹は姉の弱さをみたいがために、ひどいことをしたのに、姉は完璧な笑顔で処刑されそうな妹を助けようとする。よくある漫画ならそこで「私が間違ってました」となるところが、よけいに完璧な姉に嫌悪を抱き拒絶する。私らしく派手に散るわ、と妹は姉に笑顔で言って本当に自ら散るところが、あぁすごい話だなぁと思いました。妹には決して同情はできないけど、人間味のある女性で、完璧さが苦手というのは共感できる、薄っぺらいただの悪役ではなかったです。
リーンハルトも最初はよくある直感で運命の人を見初めて、レイラを溺愛する男?と思い、でも優しいけど何か違和感があるなぁと感じてたら、またこの方も色々とおありで…。
とにかくよくある少女漫画ではなく(ピンチのときにヒーローがなぜか偶然助けてくれる)、先が読めない深みのあるお話で読みごたえがありました。
- 5
傷心公爵令嬢レイラの逃避行