5.0
素直に愛してると言える幸せ
一言で言って、「感動の嵐」でした。
1話読むごとに胸が熱くなり、鼻の奥がツーンとする場面に出会い、とても誰かがいる前では読めそうにない作品でした。当然、一人で夜中にズビズビ鼻をかみながら、読んでいましたが……。
同じ京極姓の、幼稚舎からの同級生である誠志郎と尊。大して仲が良かったわけでもないのに、のっぴきならない事情から、男同士なのに偽装結婚する羽目に。すでに、息子モドキの幼児、礼央までいる始末。
はじめはどこにも愛情があるわけではなく、愛情を持つ義理もなかったのに、3人で暮らすうちに少しずつ深い深い愛情で結ばれていく様子が丁寧に描かれていました。
その愛情は決して騒がしくなく、温かかったり、穏やかだったりする反面、寂しさから萎縮してしまったり、時にすれ違ってしまったり。
2人の間にいる礼央によって、強められたり結び直されたりする絆は、お互いが心から素直に「愛してる」と言えるようになっていくための大切なプロセスでもあって。
恋人、夫婦(夫夫)、親子、友人、それぞれの愛情が繋がって、末広がりに広がっていく過程がこれほど見事に描かれている作品は滅多にないのではないかなと思いました。
作者さんの作品はいくつか読ませていただいていますが、どの作品もセリフの選び方が巧みで、主人公達の表情や仕草に心情が詰め込まれています。今回も、尊や誠志郎の目線1つ、後ろ姿1つで涙が出そうになるシーンがたくさんありました。もちろん、礼央の涙は、私の涙腺破壊力100%でした。
でも、お涙頂戴の作品ではありません。ユーモアに溢れ、クスクス、ニヤリもたくさんある、素敵な作品なのです!
75話と読み応えがあるのもポイント高い!!
脇目も振らず一気に読みました(笑)
「愛してる」という言葉を素直に誰かに言いたくなる、温かい作品です。
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京極家の結婚