3.0
育児漫画として、とてもいい作品だと思います。新米パパママの奮闘記として。
ただ、二人が65歳と70歳であるという設定を盛り込んだので、読者もこれを育児漫画として読むだけというわけにはいかなくなります。
その観点で感想を述べさせてもらうと、『設定を活かしきれていない』と感じました。せっかく『70歳で初産』という現実ではちょっとありえない設定にしたのだから、そこをもっと突き詰めなければこの作品の意味が薄れてしまう。お産にはもっと奥さんの命が危ぶまれることがてんこ盛りになるはずだし、病院側にしてみたら、総力をあげての一大イベントとして臨むはず。ところが、すんなり出産して、後陣痛が痛いとかおっぱいが出ないとかのレベルの話だけ。それではせっかく70歳に設定した意味がないのでは……と。もしも70歳で出産したらその体にどんなことが起こりうるか、そこをもっと表現できてたら興味深い作品になっただろうなと思いました。
ただ、親が何歳であっても、生まれてくる命は尊いし、親が子を思う気持ちは同じ。そこはしっかりと感じさせてもらいました。子供は生まれてきたいからお腹に宿る。親は宿った子供がこの世に生まれる手伝いをする。それ以上でもそれ以下でもないと、私は思っています。だから、もうそこに宿っている命に対して、高齢で産むことを無責任だとは思いません。
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