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母性への執着と嫌悪
施設出身の少年が究極の母性を求め、様々な母親を取っ替え引っ替えするストーリーです。
その描写が、実に異常。愛情に枯渇する子供が純粋に母親の存在を求める内容ではなく、異様な思考と執着心はもはや狂気です。
そしてなぜか少年にまんまとハマってしまう母親たち。実子そっちのけで少年に愛情を向ける場面もあり、その歪んだ姿に、私は『母性とは?』と考え込んでしまうことがしばしばありました。だって、自分が産んだ実の子供を差し置いて……?
母性というものが往々にしておかしな暴走を起こしたりあらぬところで噴出し得るものだということは否定しませんが、現実にこんな事例が起こらないことを祈るばかりです。
ひたすらに理想の母親像を追い求める主人公の少年ですが、同時に母親という存在に嫌悪感を抱いているようにも感じました。その感情がふと表出する時、一見サイコパスの少年に人間らしさのようなものが宿って見えたのは私だけでしょうか。
絵柄は綺麗めですが、子供は可愛く母親たちは美しく描かれていながら、時に身の毛がよだつような表情を見せます。おぞましくゾッとする描写も少なからずあり、もしかすると妊婦さんが読むにはあまり向いていないかも知れません。
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マザーパラサイト